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家に帰り、部屋に戻る。

ただいま、なんて、勿論はじめは言っていた頃もあったけれど、返事もないのでやめた。
正直、今の家族は家族って感じがしない。
私には本当の家族がいるから。まぁそれも前世のことなのだが、幾ら年月が経っても、私の家族はあの人達しかいないと思っている。

顔立ちも優しさも愛も、全てが違うこの家。本当に血の繋がっているのだろうかと思うときが多々ある。

父親と母親は、どちらも優しくて、町のみんなからも親しまれていた。
いつも平和な町。喧嘩なんて可愛いものはあったけれど、一日で解決していた。

町のみんなが家族のようで、兄弟のようで、いつもいつも幸せだった。

美味しいく温かいご飯。温かいお風呂。
寝る時はいつも家族と寝て、頭を撫でてもらっていた。

まぁ、全て憎い彼奴に全てを壊されたけれど。

初めて自身から感じた殺意は、止まることなく今の私にも留まっている。この気持ちは、忘れていけないと、私は思っている。

仇をこの手で得ることはできなかったけれど、きっと残りの皆が首を切ってくれたよね。今世ではいないし。

……あの後、死人が増えていなければ良いけれど。

あの空間を、あの場を、私はよく思い出す。

異臭を放つ場所や、音や匂い、全てを剥ぎ取られたような場所。血の濡れた、死人の山の跡。
大切な同期、先輩。苦しかった場所。

初めて柱の死を目の当たりにしたのは、煉獄さんが初めてだった。
無限列車での時、これ程まで自分の無力さに腹が立ったのは初めてだった。

宇随さんの腕が消えた時は、物凄く焦って、宇随さんより頭がこんがらがっていたっけ。
嫁さん達優しくて素敵な人ばかりだったなぁ。

彼奴が現れたという報告と同時にお館様が亡くなられた報告も同時に来て、私にはよく、分からなかった。受け入れることができなかったし、したくなかった。

彼奴の場所に行ったとき、初めはしのぶさんが死んだって知らせを受けたんだよな。

……私、その時にもう涙が溢れて溢れて。

色んな鬼と対向して、涙が邪魔になりながらも気配で察知して首を切っていった。
憎しみとかを、全てぶつけるように。

でも、次々に伝えられる大切な人の死の報告に、私は徐々に何かが失っていくような気がした。

只々、苦しかった。辛かった。悲しかった。どうして、こんないきなり皆を失うの。もう聞きたくない、もう嫌だ。

鎹鴉が彼方此方へ飛び回るたび、また誰かが亡くなったんだって、怖くて仕方がなかった。

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にゃは(プロフ) - こんなに泣いた物語は初めてです!!応援しています!!! (1月8日 5時) (レス) @page47 id: 375689edf5 (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - 大好きです!!!!更新頑張ってください! (2021年2月28日 13時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
CAORU(プロフ) - この作品、とても面白いです。なので、続編を読みたいです!オチもあるなら気になります! (2021年1月18日 21時) (レス) id: c8c13c4b59 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ〜♪(プロフ) - こんにちは、初コメントです♪私は、とても面白かったので、続編ができたら嬉しいです! (2020年10月12日 7時) (レス) id: f2b00d0a0d (このIDを非表示/違反報告)
ワノ(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» あ、方言ですか!!「ちごうくて」ですかね??変換ミスとかかと思ってました笑すみません汗 なるほど、そういう意図があったんですね!でしたら分けずに続けて「○○、○○だったので」とかやれば不自然じゃなくなる、かも…?笑 場所によるかもですが!笑 (2020年8月18日 16時) (レス) id: d173d4245c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モブ | 作成日時:2020年7月4日 1時

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