35 ページ37
『ひっく、ゔぅっ…で、でもなんでここにいるの…っ、？』
少し落ち着いてきた頃、私は声を途切れさせながら未だ涙を流している三人に聞いた。
｢猫だよ…！Aちゃんの近くに猫いたでしょ？｣
『う、うん…黒猫がいた……』
｢その子に俺がお願いしたんだ。Aを見つけてくれって｣
『で…でも、特徴とか…』
｢……そんなの、わかるに決まってるよ。主だもん｣
『…………へ？』
あの子の主が……私？ど、どういうことだろ。でも特徴を言っていないのに分かるってことは、会ったことあるの…？
『も…もしかして……栞？』
｢ああ、そうだ｣
｢俺はよく分からなかったけど、鼻が利く炭治郎はちょっと分かったみたい｣
そ、う、なんだ……。だから、だから一緒にいても、一人でいる時より辛くなくて、ちょっと安心できたんだ。…そっか……そっかあ……。
もう鴉じゃないから、お話することは出来ないけれど、もう既に会っていたのね……。
姿は変わっても、栞は栞だもの。後で会ったら沢山沢山抱き締めてあげなきゃ。
私達を会わせてくれて有難うって。栞も大切な私の家族みたいなもの。やっぱり皆で幸せになりたい。
……でも、炭治郎達がいるってことは他の人は……?
｢お前の師範。甘露寺も探してたぞ｣
伊之助が私の目を見てそう言った。やっぱり精神年齢は前世よりある為か、人の名前も覚えているのかな。
｢うん、柱の皆も、御館様も探してたよ。ずっと、ずっと…っ、ずっとっ、俺たち、探してたんだ…っ。でもっ、でも…っ見つかって良かった…っ、会えてよかった…っ｣
横から抱き締めてくる善逸。私は善逸肩に顔を埋めた。
『私…嬉しい…。ずっと、ずっと一人だと思ってた…。いつも、いつも頭の中にはみんながいたの。私が、私がここまで頑張れたのはみんなのおかげなの…本当に、本当にありがとう』
涙は止まらないけれど、私はみんなに感謝の気持ちを述べた。
そうだよ。どんなに辛いことがあっても、現代についていけなくて、家族も、全部全部上手くいってない時、貴方たちが私の心の中で呼んだから。私の名前を呼んでくれたから、私は自分の本当の名前も、何も忘れずに生きることが出来た。
本当は、貴方達が居ない世界なら、もう身を投げてしまった方が良いのかもしれないと、思った時もあった。
…でも、私は決してその道を歩むことはしなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃは(プロフ) - こんなに泣いた物語は初めてです！！応援しています！！！ (1月8日 5時) (
レス) @page47 id: 375689edf5 (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - 大好きです！！！！更新頑張ってください！ (2021年2月28日 13時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
CAORU(プロフ) - この作品、とても面白いです。なので、続編を読みたいです！オチもあるなら気になります！ (2021年1月18日 21時) (レス) id: c8c13c4b59 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ〜♪(プロフ) - こんにちは、初コメントです♪私は、とても面白かったので、続編ができたら嬉しいです！ (2020年10月12日 7時) (レス) id: f2b00d0a0d (このIDを非表示/違反報告)
ワノ(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» あ、方言ですか！！「ちごうくて」ですかね？？変換ミスとかかと思ってました笑すみません汗 なるほど、そういう意図があったんですね！でしたら分けずに続けて「○○、○○だったので」とかやれば不自然じゃなくなる、かも…？笑 場所によるかもですが！笑 (2020年8月18日 16時) (レス) id: d173d4245c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モブ | 作成日時：2020年7月4日 1時
