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『────っは!』

朝、息ができなくなったように飛び起きる。
汗がベトベトに付いていて、まだ呼吸が乱れている。

また同じ夢を見てしまった。
懐かしく、温かい夢を見たのと同時に、醜い彼奴の姿。
何故彼奴は私の夢の中迄出てくるんだ。本当に、真の鬼だな。


ベットから降り、顔を水で洗う。
水だらけになった自分を鏡で目を合わす。

その世に来て、前世と同じ容姿だった私。
この瞳は、今までどんなことが映し出されていたんだろうか。

またもう一度自分の部屋に上がり、制服に着替える。
一階に降り、自分用にトーストを焼き、目玉焼きも焼く。

机に朝食を起き、静かに一人で食べる。


前世の記憶がある私は、前世、鬼を滅殺するという、鬼殺隊というものに所属していた。
この言葉だけだと、重みのある組だと思うが実際はそうではない。

とても暖かく、私にとっての居場所だった。

親を鬼に喰われ、復讐心と共に鬼を哀れだと思っていたのと同時に、師範に拾われた。
その時から、組織の中で一番階級の高い柱とも、仲を深めることができた。
後に同期となった仲間と、一緒に任務についたり、一緒に出掛けたり、一緒に稽古に励んだ。

みんな、私の味方だと言った。みんな、私を大切だと言った。

嬉しかった。幸せだった。願わくば、ずっとみんなで平和で過ごしたかった。

でも、そんな時間も彼奴に奪われたんだ。


大切な同期、大切な仲間、大切な友人、私を生かしてくれた大切なお館様。

再び手にした、私の居場所を、彼奴は全て奪っていったんだ。

憎くて、悪くて、私は今でも、彼奴を許していない。絶対に。


みんなの最期を何人とも見届け、沢山の人から想いを告げられた。
「好きだ」「愛している」「ずっと君を想っていた」と。

私は益々彼奴を許せなかった。

彼奴の姿を始めてみた時、叫びたくなるくらいにそれはもう醜い姿だった。
彼奴の一瞬を見極め、全てをかけた。人生の中で学んだ、師範から教わった技術、全ての力を、体を使って、めり込んでめり込んで、もう肺を破裂したって構わない。あの人達の仇を打つために、人々の平和訪れさすために。

もう、みな、苦しまないように。もう、大切な人を奪わせないように。

全てを取り込んで彼奴に刃を奮った。

でも、無理だった。

私はまだまだ未熟だった。修得が足りてなかった。
柱にも満たない、丙如きの隊士の私が、彼奴の首を切れるわけがなかった。

2→←鬼



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にゃは(プロフ) - こんなに泣いた物語は初めてです!!応援しています!!! (1月8日 5時) (レス) @page47 id: 375689edf5 (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - 大好きです!!!!更新頑張ってください! (2021年2月28日 13時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
CAORU(プロフ) - この作品、とても面白いです。なので、続編を読みたいです!オチもあるなら気になります! (2021年1月18日 21時) (レス) id: c8c13c4b59 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ〜♪(プロフ) - こんにちは、初コメントです♪私は、とても面白かったので、続編ができたら嬉しいです! (2020年10月12日 7時) (レス) id: f2b00d0a0d (このIDを非表示/違反報告)
ワノ(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» あ、方言ですか!!「ちごうくて」ですかね??変換ミスとかかと思ってました笑すみません汗 なるほど、そういう意図があったんですね!でしたら分けずに続けて「○○、○○だったので」とかやれば不自然じゃなくなる、かも…?笑 場所によるかもですが!笑 (2020年8月18日 16時) (レス) id: d173d4245c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モブ | 作成日時:2020年7月4日 1時

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