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……どのくらい眠っていたのだろう。血で掠れた視界の端で、僕の身体を運ぶ人影を捉えた。

……もうほとんど力は残っていなかったが、なけなしの力を振り絞るようにして抵抗する。


「……っ、離せ……!」


「……大丈夫、私は兎崎家の人間じゃないよ。
色々あって、君を助けに来た」


「助ける……? 誰だ、お前……」


「自己紹介は後。……ひとまず、ここから逃げるよ。
今だけは、私を信じて。……君のお姉さんのためにも」


……姉さんのため。その言葉を聞いた瞬間、一気に身体の力が抜けていく。……こんなことを言うのは今さらかもしれないが、どうやら僕はこの言葉に弱いらしい。

姉さんの顔を思い浮かべながら、おもむろに瞼を閉じた。




「……着いたよ」


その言葉にゆっくりと瞼を開けると、僕の身体はホテルのベッドの上に寝かされていた。

……白衣を着た長髪の女性が、僕の方を見下ろしている。姉さんほどではないが、綺麗な人だと思った。


「……早速、治療を始めようか」


そう言って、彼女はテキパキとした手つきで怪我を治していく。……深かった傷がどんどん小さくなり、最終的には見えなくなった。


「……よし、終わり。次は診察だね」


「……逆だろ、普通……」


「仕方ないじゃん、君さっきまで死にかけてたんだからさ」


「……お前、色々すっ飛ばしすぎだよ。初対面なら、先に名乗るのがマストだろ」


「……確かにそうか。まぁ、相手の名前を聞きたいなら先に名乗るのがマナーだけどね。

初めまして、呪術高専京都校医者の綾瀬弥生です」


……無意識なのかは分からないが、嫌味っぽい言い方についイラッとしてしまう。……しかし命を救われた手前、強く言い返せないのが歯がゆかった。


「……猪瀬周。それより、先に僕の質問に答えろ、綾瀬。
なぜ僕を助けた?」


「君のお姉さんに頼まれたんだよ。弟を助けてくれって」


「……! 姉さんが……それで、今どこに?」


「……いののんなら、まだシンシンと一緒にあの家にいるよ。お兄さんを助けるってさ」


……その言葉を聞いた瞬間、僕は反射的に彼女の胸ぐらを掴んでいた。


「なんで止めなかったんだよ……! 僕も一緒に……」


「ダメだよ、怪我治ってないんだから。……今の君が行ったって、足手まといになるだけだよ」


その言葉からは、悪意が微塵も感じられない。……信じられないくらい嫌味な言い方だが、どうやらわざとではなく無意識の産物らしい。

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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーッ!!返信ありがとうございます、! 読了後速攻でフォローさせていただきました……!!供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……!!🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます!! 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……!! (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……!ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……!救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……!! (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:べるーが | 作成日時:2023年4月19日 22時

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