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……何分くらい経っただろうか。私にとっては永遠にも感じられる時間の後、その2人は地下室を去っていった。


「……っあ、周!!」


ドアが閉まる音が聞こえるなり、私は急いで周のもとへと駆け寄った。……急いで脈を確認してみるが、どんどん小さくなっていくのが素人知識でも分かった。

……さっきの話からして、兎崎家の術式はおそらく“毒”の術式なのだろう。怪我を手当てしても、術式の影響だけは私にはどうしようもない。


「……新田くん……彼を、救ってくれませんか。散々巻き込まれたのに、虫のいい話なのは重々承知しています。けど……お願い、します。たったひとりの弟なんです」


「そんなん、言われんでもやりますよ。……俺に任せてください。絶対死なせませんから」


それだけ言って、彼は鮮やかな手つきで周の身体に術式を施した。……相変わらず気は失ったままだったが、心なしか表情が穏やかになった気がする。


「……、周……」


ポケットの中に入れていた包帯を彼の身体に巻く。……改めて見ても、酷い怪我だ。ここでこしらえたであろう新しい生傷が目立つ一方、それ以上に古傷が多かった。

治りかけの傷が抉られ、いくつもの古傷の上に新しい傷ができている。……彼がここに来るまでにどれだけ痛めつけられたのかが、嫌というほど分かった。


「……私、兄さんを助けに行きます。私が説得すれば、もしかしたら何とかなるかもしれない」


「……相手が極道やとしても、呪術を使って一般人に危害を加えんのは呪術規定違反です。……これはもう、俺らにどうにかできる案件やない。周さんを連れて離脱しましょう」


「…………新田くんは、自分のお姉さんが気を失うまで痛めつけられたとしても、今と同じことを言えますか?」


「……、それは……」


「……最善の選択じゃないことくらい、分かってますよ。けど……約束したんです。今度は私が2人を助けるって」


「…………」


弟の惨状を目の当たりにしたせいか、冷静に言葉を選んだつもりでも、ついつい感情的になってしまう。


「……分かりました。そこまで言うなら、俺も行きます。俺も、姉ちゃんが同じ状況やったら多分同じようにしとると思うんで」


「……けど、周をこのまま放っておく訳には……」


「あぁ、それなら多分大丈夫です。……そろそろですかね」


新田くんがそう言った後、ドアを勢いよく開く音が狭い地下室の中にこだました。

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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーッ!!返信ありがとうございます、! 読了後速攻でフォローさせていただきました……!!供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……!!🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます!! 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……!! (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……!ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……!救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……!! (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:べるーが | 作成日時:2023年4月19日 22時

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