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……生い立ちを語り終えた彼は、黙りっぱなしの私を見て訝しげに口を開いた。
｢……Aさん、大丈夫ですか？ さっきからずっと黙ってらっしゃいますけど……｣
｢すみません。何も言葉が出てこなくて……何を言っても、安っぽい同情の言葉になりそうな気がして｣
｢……！ あははっ……急に黙ってしまったかと思えば、そんなことを考えていたんですか？｣
急に笑い出す彼に驚きつつも頷くと、彼は目尻に溜まった涙を拭いながら、言葉を続けた。
｢……その言葉で十分ですよ、Aさん。下手な慰めの言葉より、よっぽど嬉しいです｣
｢……本当に？｣
｢ええ。あの2人が溺愛するのもわかる気がします。……私が同じ立場でも、きっとそうするでしょうし｣
｢あはは……それはどうも｣
｢……、Aさん、また冗談だと思ってますね？ 今の、私なりの愛情表現だったんですけど｣
菖さんはどこか拗ねたようにそう呟いた。……その年相応な反応に、つい笑みがこぼれた。
｢あははっ、ずいぶん分かりにくい愛情表現ですね｣
｢そう……なんでしょうか。姉上にもよく言われるんです、分かりづらいって｣
｢でしょうね。……本気で言ってくれてるんでしょうけど、どこか嘘っぽいというか｣
｢……どうしたらいいんでしょう？ 嘘だと思われてしまうのは、少し寂しいです｣
｢うーん……別にそのままでいいんじゃないですか？ 今みたいにちゃんと伝えてくれれば、それで十分かと｣
私がそう伝えると、彼は驚いたように目を丸くした。
｢あ……はは、ありがとうございます。
なんと言うか……さすがですね｣
｢えっ、何がですか？｣
｢いえ、お気になさらず｣
彼はそう言って、出会ったときと同じ優しい笑みを浮かべた。そのとき、襖の向こうから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
……氷のように冷たい目。東京校にいたときの彼女とはまるで別人だ。
｢失礼します。……若、組長が話があると｣
｢分かった、すぐ行く。
……Aさん、少し席を外しますね。その間は彼女に任せますので安心してください｣
｢は、はぁ……？｣
あまりにも他人行儀な言い草に困惑していると、彼はそれを悟ったかのようにこう耳打ちしてきた。
｢……兎崎家は上下関係が厳しいんです。この喋り方でないと御付きの者がうるさいんですよ｣
……なるほど、だから塩田さんも敬語なのか。
そう納得したところで、私はようやく彼女と2人で話す機会を得たのだった。
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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーｯ！！返信ありがとうございます、！ 読了後速攻でフォローさせていただきました……！！供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……！！🙏 (3月10日 18時) (
レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます！！ 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……！！ (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……！ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……！救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……！！ (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べるーが | 作成日時：2023年4月19日 22時
