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「……電話、終わりましたか?」
「はい。……ここ、本当に電波通ってます?
この電波状況だと、なかなか不便そうですね」
「あはは、圏外ギリギリですけど一応通ってはいるんですよ? ……まぁ、我々は電話なんて滅多に使わないので」
圏外ギリギリって、どんな秘境だよ……まぁ、海外に売り飛ばされたりしないだけまだマシか。
……なんて考えが真っ先に浮かぶくらいには、私もあの家の空気に毒されてしまっているらしい。
「いいんですか、お2人にあんなことを言ってしまわれて。
……流石にあの2人がいない猪瀬家に負けるほど、落ちぶれてはいないつもりです。……下手したら、もう二度とこの家から出れない、なんてことにもなりかねませんよ」
「そうかもしれませんけど……私も、闘争の混乱に乗じて逃げられないほど、馬鹿じゃないです」
そう言うと、彼は驚いたように目を見開いたあと、可笑しそうに笑いだした。
「……! っふふ、あははっ……やっぱり面白い人だ。
半年ほど前から、随分雰囲気を変えられましたけど……私は今のあなたの方が断然好みです」
「……! っふふ……冗談でも嬉しいです。
ありがとうございます、菖さん」
……相変わらず、『猪瀬A』ではなく私自身に好意を持ってくれる人にはかなり弱い。
「…………」
「あの……どうかしました?」
「あぁいえ、何でもありません。ただ……少しだけ、周さんが羨ましいなと思っただけです」
「……羨ましい?」
……少し寂しそうにも見える笑顔を終始貼り付けたまま、彼は言葉を続けた。
「……
……普通の姉弟のように仲良くしたい、とは思いません。
けど……せめて人として扱ってほしいと思うのは、そんなにおかしいことでしょうか」
……一体どんな環境で育ったら、人のように接してほしいなんて願いが出てくるのだろう。
そんなことを考えながら、ぽつりぽつりと話し始める彼の話に耳を傾けた。
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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーッ!!返信ありがとうございます、! 読了後速攻でフォローさせていただきました……!!供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……!!🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます!! 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……!! (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……!ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……!救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……!! (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べるーが | 作成日時:2023年4月19日 22時