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「うわぁ、美味しそう……!
榊木さんは何にするんですか?」
「俺っすか? ……俺は普通にゼリー飲料とかで……」
「えぇっ、こんなにラインナップあるのにゼリー!?
もったいなくないですか?」
「三日三晩ろくに食わずに栄養ドリンク飲んでるあんたに言われたくないっすよ。……てか売り切れだし……」
……こんなにラインナップがあるのに、1番の人気商品がゼリー飲料って……(元)会社の最寄りのコンビニと同じ匂いがするな。
そんなことを思いつつ、直感で目に止まったカップ焼きそばを手に取った。
「……あんた、カップ麺も同じレベルじゃないっすか……
まぁいいや、俺もそれにします」
「美味しいですよね〜、久しぶりの食事ですし5個くらいペロリといけちゃいそうです」
「っはは、さすがにそれは冗談……って、マジで5個買うんすか!?」
「……? はい」
……ここ最近は仕事続きで、栄養ドリンク以外はほとんど口にしていない。兄さんと周も忙しいのか、初日以外はほとんど事務室に顔を出すことはなかったからだ。
「ごちそうさまでした! はぁ、美味しかった〜」
「……カップ焼きそばなんて、久しぶりに食いました。
ゼリーよりはよっぽど人間の食べ物って感じしますね」
……この口ぶりだと、かなり長い間昼食はゼリー飲料で済ませていたようだ。
「……さて、腹ごしらえも済んだところで兎崎家について話しますね。……下手すりゃ命にも関わるんで、よく聞いといてください」
「わ、分かりました……」
「まず、今の若頭は兎崎菖っていう男です。女みてぇな名前ですけど、実力は本物らしいっすね。
……ここまでは、カシラの2人から聞いてますか?」
その言葉にコクリと頷く。
……遊園地で会ったあの人が、兎崎菖だろう。
「ここからは、俺の知ってる情報だけになりますけど。
兎崎家は確か6人姉弟って聞いてます。兎崎菖が産まれるまでは、なかなか男児に恵まれなかったみたいっすね」
「ろ、6人姉弟!?」
……つまり彼は、上に5人お姉さんがいるわけか……
これだけ特殊な業界であれば、女性が若頭になれないのも当然と言えば当然なのかもしれない。
「ええ。……唯一の跡取りだからか、かなり大切に育てられたみたいっすね。その反面、姉からの恨みは相当だったみたいで、守る意味でも姉たちとは別居してるみたいです。
……同情するわけじゃないっすけど、皆苦労してるんすね」
そう言って、榊木さんは深くため息をついた。
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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーッ!!返信ありがとうございます、! 読了後速攻でフォローさせていただきました……!!供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……!!🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます!! 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……!! (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……!ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……!救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……!! (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べるーが | 作成日時:2023年4月19日 22時