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15《兎崎家 続》 ページ17

「……何か言いたげだな、菫」


「いえ、私はそういう身分じゃないので」


「そんなどうでもいいこと、いちいち気にするな。
……言いたいことがあるなら言え。ここはそういう場だ」


……その場の全員の視線が私に集まるのを感じながら、私はおもむろに口を開いた。


「……猪瀬Aを人質にすることが、逆効果になってしまうかもしれません」


「テメェ、丁稚の分際で……!」


「構わない。……続けろ、菫」


「……逆上して、兎崎組全員バラされる可能性もなくはないんじゃないかと」


「そうだな。むしろその可能性が高いだろう。
……だが、逆上するってことは、冷静な判断ができなくなるってことだ。……勝つには、そこに賭けるしかない」


……本当に大丈夫だろうか。
胸に沸き立つ不安を抑えつけるように、ポケットの中の懐中時計を強く握りしめた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


仕事もようやくひと段落つき、大きく伸びをする。横目で時計を見ると、短針は14時過ぎを指していた。


「……お腹、空いたな」


極道の事務所とは言えども、近くにコンビニくらいはあるだろう。そう思い席を立ったその時だった。


「……どこ行くつもりですか?」


「え、っと……ちょっとコンビニに?」


「……コンビニなんて、ここから歩いて行ったら2時間はゆうに超えますよ。腹減ったんなら、下の売店で十分っしょ」


流石極道の本拠地、コンビニさえも徒歩2時間か……正直なところナメていたが、まさかここまでとは。


「へぇ……じゃあ、お昼買いに行ってきま」


「っ……おい、待てって……!」


「……!?」


強く腕を引かれ、驚いて体勢を崩してしまう。
危うく床と衝突しそうになるところを、すんでのところで引き上げてもらい、事なきを得た。


「あ……っ、すみません!」


「……いえ、俺が強く引きすぎました。怪我ありませんか」


榊木さんはそう言って、ゆっくりと身体を起こしてくれた。

……改めて見ると、びっくりするほど顔がいいな……猪瀬家周辺はそういう家系なのだろうか。


「……売店行くなら、俺も一緒に行きます」


「え? けど、売店くらい1人で……」


「俺だって正直めんどいですけど、上からの指示なんで。
……無視ったら、俺の方がバラされちまうんですよ。だから、我慢して着いてきてください」


……そう言われると返す言葉がないな。
そう思いながら、先を歩く榊木さんの背中を追いかけた。

16→←14《兎崎家》



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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーッ!!返信ありがとうございます、! 読了後速攻でフォローさせていただきました……!!供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……!!🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます!! 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……!! (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……!ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……!救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……!! (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:べるーが | 作成日時:2023年4月19日 22時

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