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「……けど榊木さん、私のこと敬う気なんてさらさらないじゃないですか。形だけの上下関係なんて、あっても意味なくないかなぁ、なんて……」
榊木さんはギクリとした様子で動きを止めた。……あれでも一応、敬意を払ってるつもりだったんだろうか……
「他の人は気にするかも知れませんけど、私は気にしませんよ。……多分、兄さんと周もそうだと思います」
気にしない……と言うより、興味がないと言った方が正しい気がする。……けど、敬語くらいでいちいち突っかかるような人たちではないはずだ。
「……そうっすね。意味はないんじゃないすか、正直。
……けど、やめときます。あんたと仲良しこよし、って思われんのも癪なんで……それに、あんたが敬語なのに俺だけタメってのも変でしょ」
「あははっ、確かにそうですね」
……敬語ともタメ口とも言いきれない独特の口調。彼の話し方は、どことなく“彼女”を彷彿とさせる。
「……なんすか、ジロジロ見て……気持ち悪ぃ」
「……いえ、何でも。
よし、私も仕事に戻らないと」
「俺の話聞いてました?
……早く寝た方がいいんじゃないですか」
「まさか。……むしろ、本番はこれからですよ」
「…………呆れた、そこまで行くともはや変態の域っすね」
榊木さんはそれだけ言うと、くるっと踵を返して自席へと戻っていってしまった。……後ろを振り返るまでのほんの一瞬、口もとが緩んでいたような気がしたけど……
「……気のせいか」
……あの榊木さんに限ってそんな訳ないか。
コンビニのレジ袋の中に常備していたエナジードリンクを飲み干し、目の前の仕事に取り掛かったのだった。
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「……よし、全員揃ったな。
んじゃ、うちの参謀長サマの意見を聞くとするか」
そう言って隣に座る参謀長……弟に目をやると、周はおもむろに立ち上がった。
「……あっちと取り引きしてる以上、慎重に動かないと。仮にも相手は
…………なんてね」
悪巧みを思いついたように笑みを浮かべながら、ホワイトボードに貼られた“奴”の写真にナイフを突き刺す。
もし今の言葉が本心だったら、どうしてやろうかと思ったが……どうやら杞憂だったようだ。
……さすが、俺の弟だ。性格は真反対もいい所だが、思考回路だけは似通っているらしい。
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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーッ!!返信ありがとうございます、! 読了後速攻でフォローさせていただきました……!!供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……!!🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます!! 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……!! (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……!ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……!救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……!! (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べるーが | 作成日時:2023年4月19日 22時