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｢お気遣いありがとうございます。……けど、もう少しだけ仕事して帰ります｣
｢駄目だよ。そんなこと言って徹夜するつもりでしょ？｣
｢まさか、切りが良くなったらちゃんと寝ますよ。
……多分｣
｢多分って……はぁ、分かったよ。
姉さん、記憶なくなってからさらに頑固になったよね｣
周の方が先に折れてくれたようで、諦めたような笑みを零してから事務室を出ていった。
……あんなことを言いつつ、きっと彼もまだ仕事を続けるのだろう。なんとなくそんな気がした。
｢……部屋、戻んないんすか｣
｢…………｣
｢チッ……あんた、そうやって無視すんの悪い癖っすよ｣
机をバンと叩く音で、ようやく隣に立つ榊木さんの姿に気がついた。……榊木さんはあからさまにイラついた様子で、私を見下ろしていた。
……どうやら、また集中しすぎて周りが見えなくなっていたようだ。
｢うわっ！？ さ、榊木さん……すみません、気づかなくて｣
｢……部屋、戻んないんすか。
もうとっくに定時過ぎてますけど｣
｢えっ……いやだって、皆さんまだ働いてらっしゃるじゃないですか。私だけ寝るなんてできませんよ｣
｢は？ あんたは本家の人なんだから例外でしょ……
……てか、あんたに何かあったら、カシラたちの方が手ぇつけらんなくなりますよ｣
あの2人の暴走っぷりは見せられたばかりなので、嫌というほど想像がつく。……もはや考えたくもない。
｢あはは、確かにそうですね。
……あの、榊木さん。さっき言ってた『本家』って何のことですか？｣
｢……記憶喪失っつーことは、全部一から説明し直しっすか？ ……はぁ、クッソだりぃ……｣
榊木さんは心の声をダダ漏れにさせながらも、律儀に“本家”についての解説を始めた。
｢本家ってのは、猪瀬家……要するにあんたらのことです。
逆に、俺ら榊木家とかは分家に当たりますね。……基本的に、分家の人間は本家に絶対服従、ってのがここのルールっす｣
｢……不思議ですね。なんで親戚なのに上下関係が？｣
｢話聞いてなかったんすか？ そういう“ルール”だからっすよ。……今のあんたにはピンと来ねぇのかもしれませんけど、俺らからしたらこれが“普通”なんで｣
……自分とは全く違う価値観に目眩がした。
私にとっての“普通”と彼らにとっての“普通”。その隔たりの大きさは相当のようだ。
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ねのあ(プロフ) - べるーがさん» あーｯ！！返信ありがとうございます、！ 読了後速攻でフォローさせていただきました……！！供給が少ないオタクとして共に更新していきましょう……！！🙏 (3月10日 18時) (
レス) id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ねのあさん» わーーーありがとうございます！！ 私も初コメきてテンション爆上がりしてます⤴⤴ 更新頑張るのでこれからも応援していただけると嬉しいです……！！ (3月10日 18時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
ねのあ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです……！ずっと新田姉弟の話を探していたんですが、ようやく見つけられました……！救われました、QOLが爆上がりしてます……これから応援させていただきます……！！ (3月9日 23時) (レス) @page37 id: 919a6d5cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べるーが | 作成日時：2023年4月19日 22時
