�� ページ29
｢……っふふ、相変わらずいい反応してくれるじゃん。
フィドルのそういうところ、結構好きだよ？｣
｢……っ、お前ほんっといい性格してんな……｣
こんな反応をされると、つい興奮……じゃなくて、心が痛む。……そんな私を見てか、彼は呆れたように深くため息をついた。
｢ふふ、褒め言葉として受け取っておくよ。
……今まで色んな楽器と会ってきたけど、ここまでメンテを嫌がる楽器なんてフィドルくらいだよ。……まぁ、ヴァイオリンも別の意味で嫌がりはするか｣
｢……前にも言ったろ。慣れてねぇんだよ、こういうの……
アイツら、よくコレに耐えられるよな……ま、アイツらにとっちゃ、こういう扱いが普通なんだろうけどさ｣
……フィドルはそう呟いてから、どこか諦めたような笑みをこぼした。
｢……ごめん。申し訳ないとは思ってるよ。冗談じゃなくて本気で嫌がってることも理解してる。
……けど、君は本来そんな扱いを受けていい存在じゃない。もっと人間から大切にされるべきなんだよ｣
｢……、A……｣
｢だから、私は……例えフィドルに嫌われてでも、できる限り力になってあげたいって……そう思ってる。
……けど、君にとっては迷惑な話なんだろうね、きっと｣
｢はぁ……お前、ほんっとそういうとこだからな？
……そんな言い方されちゃ、断れねぇじゃんか……｣
｢……！ フィドル……！｣
｢……我慢しててやるから、さっさと終わらせてくれ……｣
｢ふふ、任せて……って、側板のところキズだらけじゃん！ ……残念だけど、まだ終われなさそうだね｣
……私がそう告げると、彼は諦めた様子で抵抗を止めた。
側板には痛々しい傷跡がいくつも残されていた。……その傷ができた経緯を思うと、少し胸が傷んだ。
｢……よし、メンテ終わり！｣
｢やっと終わった……こんないい服着んのは半世紀ぶりだよ。……肌触りはいいけど、窮屈な服だな……｣
｢ふふ、よく似合ってるよ。せっかくだし、みんなにもその格好で会ってきたら？ きっとみんな驚くよ、ヴァイオリンみたいだ〜って｣
｢だな。お前には秒でバレたけど、他の楽器にはオレらの見分けなんかつかねぇだろうしな。
……よし、さっそく楽器庫に……｣
｢…………フィドルか？｣
……その声に振り向くと、そこに立っていたのは……
オススメの楽器さん
バスクラリネット
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (
レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました！！ いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです！！ (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜！！ 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……？？ (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします！！！ (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べるーが | 作成日時：2023年3月1日 23時
