フィドルさんとの日常�� ページ28
｢……A｣
｢……！ びっ、くりした……久しぶりだね、フィドル｣
｢ちぇっ、やっぱ騙されなかったかぁ……今回のは結構自信あったんだけどなぁ｣
ヴァイオリンと瓜二つの見た目と声。……しかし、よく見ると所々汚れやキズが目立つ。とてもじゃないが、きちんと管理されているとは言えない。
厳密にはどちらも全く同じ楽器なのだが、一応フィドルの方が兄で、ヴァイオリンは双子の弟にあたるらしい。
｢あはは、正直声だけ聞いたら分からなかったよ。
……けど、ヴァイオリンは私のことなんて、名前で呼んだりしないから｣
｢ふぅん……なんつーか、アイツも相変わらずだなぁ。
……そんなに寂しいなら、オレが慰めてやろうか？｣
｢え……｣
フィドルはそう言いながら、いきなり距離を詰めてくる。もう少しで鼻先が触れそうなほどに近づいた瞬間、彼は可笑しそうに笑いながらパッと身体を離した。
｢……っはは、冗談だって！ Aってば、相変わらずいい反応してくれんじゃん。……お前のそういうとこ、結構好きだぜ？｣
｢……、あんまりからかうと本気にするよ？｣
｢ははっ、悪ぃ悪ぃ。……ま、オレ的には本気にしてくれても全然構わねぇんだけど｣
｢はいはい、分かった分かった。
……けど、わざわざここに来たってことは……今日こそメンテさせてくれるってことだよね？｣
｢悪ぃけど、今日はお前らの顔を見に来ただけなんだ。お前の顔も見れたし、あとはアイツらにだけ会ったら帰……｣
｢……まさか。それこそ冗談でしょ？ フィドル、さっき言ってたよね。『本気にしてもいい』って｣
｢は？ ……いやっ、ちょっと待……！｣
｢ふふっ……逃がさないよ、フィドル。
……絶対痛くしないからさ、ね？｣
｢う……嘘、だろ……｣
……職業柄、こういう『メンテしがいのある』楽器を見るとつい興奮してしまう。
ニヤけが止まらない私と対照的に、半ば絶望した表情で抵抗をやめる彼を、早速台の上に乗せて作業を始めた。
｢……っ、勘弁しろよ……オレがメンテ苦手なの、お前も知ってんだろ？｣
｢…………｣
｢……っおい、無視すんなっての！
……頼むから、これ以上はもうやめてくれ……お前にそんなふうに扱われたら、ダメになっちまうから……｣
……ポリッシュを塗る度に、ニスを塗り直す度に、フィドルは心底嫌そうに表情を歪ませる。
普段まともな扱いを受けていないせいか、彼はメンテやリペアの類が大の苦手らしい。
オススメの楽器さん
バスクラリネット
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (
レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました！！ いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです！！ (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜！！ 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……？？ (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします！！！ (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べるーが | 作成日時：2023年3月1日 23時
