トランペットさんとの日常 ページ2
｢はぁ……また出せなかったな、最後のhigh D……どうやったら出るんだろう？｣
……最後の曲の、1番最後の小節。追い打ちをかけるように出てくるハイトーンに、私は苦戦を強いられていた。
｢あんま気にすんなって。……まぁもし直すとしたら、技術ってよりはメンタル的なところかもな｣
｢やっぱりそうかなぁ……誰かに聴かれてるって思うと緊張して、上手く音が出ないというか｣
｢はは、気負いすぎだろ。別に失敗したって、死ぬわけじゃねえんだからさ……“今は”｣
……トランペットさんが言った『死ぬ』という言葉が、やけに重たく響いた。それよりも……
｢……“今は”、って？｣
｢……俺の成り立ちくらい、お前なら知ってるだろ？｣
……中世の辺りまで、長い間軍用楽器だったトランペットさん。その頃はまだバルブがなく、戦場で進軍や突撃などの合図を出すための楽器だった。
失敗したら死ぬ、というのは……つまり、そういうことをいっているのだろう。
｢トランペットさんは……やっぱり
｢はは、まさか。……あの頃はそういう時代だったんだよ。ああいう役割は、俺が1番適任だったってだけだろ｣
｢……本音は？｣
｢はは、相変わらず嫌なとこ突くな、お前……
なぁ、それより早く練習しようぜ？｣
｢……｣
｢はぁ……分かった分かった、ちゃんと話すよ。
……後悔しても知らねえからな｣
黙りこくった私を見て折れたのか、トランペットさんは大きくため息をついてから話し始めた。
｢……正直に言って、そんなに愛着があるわけじゃないよ。人間の醜いところなんて、飽きるほど見てきたからさ｣
｢……こんなこと言ったら無責任だって言われるかもだけど、聞かなきゃよかった｣
｢だろ？ だから言ったのに……本当、変なところで頑固だよなぁ、Aって｣
そう言って、彼は呆れたような笑みをこぼした。
｢……じゃあ、練習頑張らないとだね｣
｢そりゃあ良いことだけど……いきなりどうしたんだよ？｣
｢……練習頑張って上手くなったら、トランペットさんに好きになってもらえるかな、って｣
彼は一瞬驚いたように目を大きく見開いた後、お腹を抱えて笑いだした。
｢っはは……俺、面白いやつは嫌いじゃないよ｣
｢ほんとに？ じゃあ、お笑いとかも勉強した方がいい？｣
｢馬鹿、そういう意味じゃねえっつの。
……まぁ、お前が鈍いのは元からだけどさ｣
｢……？｣
オススメの楽器さん
バスクラリネット
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (
レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました！！ いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです！！ (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜！！ 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……？？ (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします！！！ (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べるーが | 作成日時：2023年3月1日 23時
