好きなんスもん【黄瀬涼太】

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合宿所に入ると監督から自分の部屋が書いてある紙を渡された。監督と私はそれぞれ一人部屋で、あとの選手は全員同じ大部屋みたいだ。




『いいな、皆で同じ部屋……』

「仕方ねぇだろ、一応女子なんだしよ」

『一応って何ですか笠松先輩、泣きますよ』




皆で同じ部屋。
きっと深夜まで寝ないで恋バナしたり、お菓子パーティー開いたりしてわいわいするんだろうな、いいな。

こういう時、女子に生まれてきたことを恨む。




「Aっち部屋隣だし寝るギリギリまで遊びおいでよ！」

『え、それは何かモラル的にいいの……？』

「ね！先輩たちもいいっスよね！」

「そうだな、黄瀬と森山が変なことしなけりゃいいぞ」

「俺変なことしないっスよ！！？」


「だそうだ。遊びに来いよ湖橙」

『ありがとうございます！！！』




私が寂しくないように、と気遣いが上手い黄瀬に感動する。

そりゃモテるわけだ。


本人には絶対に言ってやらないけど。




「……」

「しないよな？森山」

「……頑張ろう」

「しないって言えよ！！！」




森山先輩にはこの五日間できるだけ近づかないようにしよう、と密かに心に誓った。

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