93話 ページ9
完全に力の抜けたAをドンに支えてもらいながら何とかおぶる。
さらりと亜麻色の髪が落ちてグッと唇を噛み締めた。
考えるより先に動いて、ジッとしてられない、そんな奴が今か細い息でいる。
耳元に近いだけ、その息がいかに不定期で引き攣っているかがよく聞こえた。
「レ、レイ。しんどいなら俺が…」
「いい。俺が運ぶ」
でも、それでもまだ命がある。
その事が何より嬉しくて、そして自分が心底嫌になった。
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ロープの強奪。
Aが出荷。
エマは骨折で動けない。
「下見済ませて次脱獄のはずが…一体どうすりゃいいんだよ……」
ドンが頭を抱えて言った。
順調が一転、本格的に身動きができなくなってしまった。
この一瞬でだ。
「エマなら足はソッコーで治す ロープもまた作りゃいい
脱獄はどうにかなるしどうにか
そう、脱獄なんてどうにでもできる。
問題は。
「今はまずAだ」
本部の指図で食われる。
「次の出荷が決まった」とレイにママが言ったあの時、既に決まっていたのである。
「シスターを排除し、俺を切り捨て、エマの足を折った」
俺が裏切ったことに気付いていた。
邪魔者に横槍を入れられないため。
間接支配をしないため。
脱獄させないため。
それをあの一瞬でやり遂げた。
全ては「Aの出荷」のため。
「で、でもどうしてAなんだ？そりゃ確かに4人の中で考えたらそうかもしれねぇけど…でも、アイツだってフルスコアの頭だ」
「脱獄がバレたから…でもないんだよね」
「特別な奴が食べるってんなら、少しでも美味しい状態がいい筈だ。12歳満期が妥当なんじゃ…」
「…違う、あいつだけは満期
ドンとギルダがレイの方へ振り向く。
「…どういうこと？」
「満期じゃなくていい…？」
「……俺ら食用児は脳の栽培の為に育てられてる。が、ある「モノ」をもって生まれた奴はそれに当てはまらない」
これは本当は子供たちが知っている情報などではない。
ママからわざわざ教えてもらったものでもない。
俺だからこそ知っているもの。
「先天性色素欠乏症のアルビノ
異質同体のキメラ
そして目の中の色が混ざらず存在を確立させるアース・アイ」
「Aの目は「鬼」に取っては脳より一番のご馳走なんだ」
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凛香奈 - 続編楽しみにしてます！ (2021年1月22日 19時) (
レス) id: 11436a7db0 (このIDを非表示/違反報告)
ぱふぇ - 最高。絵上手すぎです！面白すぎてハゲそう(真顔。更新楽しみにしてます！ (2020年12月19日 13時) (レス) id: 00337bf9fd (このIDを非表示/違反報告)
トエル・タウ - ノーマンと夢主ちゃんの関係、ぼたぼた涙が出てきました…。どうか幸せになってくれ…。 (2020年7月24日 14時) (レス) id: fc7aaf8032 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツ(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2020年6月29日 17時) (レス) id: 0aa8d61485 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごーーく面白いです！！約ネバ好きのレイ推しなのですっごく嬉しいです！Rain (2020年6月16日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レレ | 作成日時：2019年8月29日 16時
