番外編 冥土の土産 ページ50
まずは構えて、片目を瞑ってレンズ越しに景色を見る。
後は静かに待って、今って思った瞬間_____
『また撮ってる』
ひょこっと亜麻色の髪が侵入してきて、俺は一旦手を下ろした。
『楽しい？』
「…多分」
『多分かい』
Aの言う「それ」は、今俺が手に持っているカメラだ。
ストロボが必要だったからママからもらった物。
『ね、撮ったの見せてよ』
本に挟んでいた写真を渡すと、Aは嬉々として受け取った。
子ども同士で遊んでいる写真がほとんどだ。
普段は気にしない日常の一部。
『何か皆んな閉じ込められちゃったみたいだねー』
「言うて実際箱庭にいるから実質間違いじゃない」
『急に笑えない話を…』
一枚ずつ見ては感想を漏らし、一巡してようやくAは満足そうに息を吐いた。
そして俺の方を見る。
『んで、レイは？』
「は？」
『レイ一回も映ってないじゃん』
「そりゃ俺が撮ってるし」
あそっか、と呟いてAは黙り込んだ。
かと思いきや閃いたようにポンと手を打った。
『私は天才だ！！！』
「寝言か？」
『ちょっとレイそれ貸して！』
「あ、おい！」
カメラを取られたかと思いきや、ギュッと距離が縮まって肩が当たる。
『ほら笑って〜』
まるで自撮りするかのようにカメラの前面を向けて、
『はいチーズ！』
___パシャ
Aが高く掲げたカメラから軽快な音が鳴る。
「おま、そんな撮り方があるか！」
『えー？だって一人はレイくん寂しがるかと思って』
「消す」
『え！？嘘、ちょっ、！』
せっかくのアイデアだったのにぃ！なんてAが叫んだ。
・
・
・
・
ふぅ、と息を吐く。
23:35
俺の誕生日まで残り25分。
…俺の寿命はあと僅か
本に挟んだ写真の束から、一番後ろのものを手にした。
Aがあの時撮った写真。
Aの顔は半分見切れているし、慌てた俺の顔に余裕はない。
我ながら情けない顔だ。
けれど
Aの顔の部分を指の腹で優しく撫でる。
朝露みたいにキラキラした笑顔
晴れやかな空の中に若葉や日の光を閉じ込めたような瞳
俺が好きな...
破れないよう折れないよう、そっとポケットに仕舞い込む。
きっと1枚ならバチも当たらないだろう。
扉の奥から不規則な足音が聞こえる。そして杖をつく音も。
ふぅ、と息を吐いて、前を見据えた。
さあ、決着だ
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凛香奈 - 続編楽しみにしてます！ (2021年1月22日 19時) (
レス) id: 11436a7db0 (このIDを非表示/違反報告)
ぱふぇ - 最高。絵上手すぎです！面白すぎてハゲそう(真顔。更新楽しみにしてます！ (2020年12月19日 13時) (レス) id: 00337bf9fd (このIDを非表示/違反報告)
トエル・タウ - ノーマンと夢主ちゃんの関係、ぼたぼた涙が出てきました…。どうか幸せになってくれ…。 (2020年7月24日 14時) (レス) id: fc7aaf8032 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツ(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2020年6月29日 17時) (レス) id: 0aa8d61485 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごーーく面白いです！！約ネバ好きのレイ推しなのですっごく嬉しいです！Rain (2020年6月16日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レレ | 作成日時：2019年8月29日 16時
