OUR. Ⅱ (ページ5)

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阿部と佐久間が見つめ合う。

「佐久間」と阿部が呼ぼうとしたが、阿部の口が動こうとした瞬間、目を伏せて佐久間は暗闇に消えて行った。

岩「ダテさん！！」

駆け出した岩本。

それに続く様にラウールが駆け出し、「あべちゃん！」と呼ぶ声にハッと気を取り戻した。

岩「ダテさん！！わかる？ダテさん、ダテさん！」

岩本が腕に抱え込んだ宮舘は酷いものだった。

探していたナイフで斬りつけられたであろう傷が広がっており、変色したアザも目立つ。

虚な目はどこか一点を見つめていた。

阿「ひかる揺らしちゃダメだよ。とりあえず車に運ぼう。ラウールはふっか達に見つかったって連絡取って。車の中では治療頼んだよ」

ラ「わかった」

後部座席に横たわらせ、ラウールが膝枕をする形になったが、ラウールの顔は険しかった。

傷の数が多すぎるのだ。いくら治癒のアビリティがあるにせよ、アビリティの使いすぎも体に毒だ。

そっと傷口に触れると宮舘の眉がピクリと動く。

ラ「ごめん！痛かったね」

傷に触れなければ治療はできない。

ごめん、ごめんね。と唱えながら宮舘の手を握り、痛みのせいか涙を溢す宮舘に心を痛めた。

阿「ラウール、無理はしないでね」

ラ「大丈夫。でも帰ってちゃんと縫わなきゃいけない傷も多いかも。でも、」

阿「…でも？」

ラ「……急所、全然狙われてないよ」

それに、どんな意味が含まれているのか。

運転をしている岩本も2人の会話を耳に挟みながら、グッとハンドルを握り直した。

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家に着いてからというもの、流石に一晩中ラウールに治療をさせるわけにはいかないと寝かせ、

渡辺が宮舘のそばにずっとついていた。

眠る宮舘のベッドの横に居座り、血の滲んだ包帯を変えたり、時々心配になって息をしているか確認したり。

深「翔太」

渡「…ん、なに？」

深「寝ないの？」

渡「寝ない」

深「ダテさんが心配？」

渡「…うん」

そっかあ。と深澤は渡辺の横に座る。

渡辺はピトリと宮舘の額に手を当て、「ちょっとあちいな」と呟いた。

渡「明日、涼太すげえ熱出るかも」

深「傷が深いとね。ちょっとダテさんには辛いかも」

渡「…ひとりで、行かせなきゃ良かったな」

サラリと宮舘の髪をといた。

深「さ、翔太も寝よう。疲れたでしょ」

渡「いい、涼太のそばにいる」

深「…そか。じゃあ、おやすみね翔太。ダテさんも」

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