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深澤side
おでこに感じる冷たさと、体にのしかかる重いもの。
あれ、そういえば、と目を開けてみると、見慣れない天井と消毒液臭さの漂うそこ。
医務室、なのか？
「っしょ、…てあれ、」
体を起こそうと試みたものの、お腹の上に乗っかる物体のせいで起き上がれない。
何枚もかけられた布団に沈むその頭は、最近染めたであろう銀髪で。
「ひーかる」
呼びかけてみたものの、反応はなし。
ツンツンと突いてみても、動く気配はない。
「おーい、ひかるさーん」
「ひーちゃーん」
「こら、ひー、起きなさい」
ゆさゆさと何度か揺さぶってみると、「んぅ」と子供のような声を出して顔を起こす。
岩「…………ふっか」
「そそ、ふっかよ。ちょっとそこ重いからさ、退いてくんね？」
岩「ぇ、ちょ待ち。もう体は大丈夫？寒くない？頭痛くない？熱は？怠くない？」
起きたかと思えば迫る勢いで質問攻め。
確かに言われてみれば、という程度で、ひかるの発見が早かったおかげで大事には至らなかったらしい。
「だいじょぶよ。ひかるのお陰で」
岩「っ、…はぁ、よかったぁ、」
安心したのか、うるうると泣きそうな顔でぬるっと俺に抱きついてきた。
「あれ、ひかる熱くない？」
岩「お前あっためるために暖房ガンガンにしたの。マジで死ぬんじゃねえかって思った」
「じゃあこの冷えピタもひかるが？」
岩「…んまあ、全部俺だけど」
「そか。頑張ってくれたのね」
ありがと、と言えば、「別にい？」なんて言っちゃって。
ほんとは嬉しくて仕方ないだろうにね。
後日、翔太からこの日のことについて語られたけど、
どうやらひかるはボロボロ泣きながら俺の看病をしてたらしく、
暖房をつける時も、冷えピタを替える時も、ずっと「ふっかが死んじゃう」って言いながらずっと近くにいたらしい。
さすが夫婦だな、なんて言われたけど、
翔太は俺が倒れてから2、3日間、ずっとひかるが俺の家に住み着いてたことは知らないんだろうな。
fin.
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作者名：やまさき | 作成日時：2021年4月16日 17時
