ハレルヤ (ページ10)

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佐「ちなみにケビンって男？女？」

『お前ケビンで女だったらどうすんだよ』

佐「え？萌える」

『お前のことだけは一生理解出来なさそう』

収録後、ちょこちょこと翔太の周りを動き回って何かとちょっかいを出す佐久間。

彼なりに元気付けたりだとか、

きっとそういう配慮をしてくれてると思うんだけど、

ちょっかいを出されてる本人は困り顔。

助けて、と俺に視線を送ってくる。

「佐久間、そろそろ帰らなくていいの？」

佐「あー、今日はまだいいかなあ」

岩「昨日新しいアニメやるとか言ってなかった？なんだっけ、魔法少女なんたら」

佐「魔法少女、、あぁ！そうだ！2クール目で放送時間ズレたんだった！」

なんて叫んだあとは大忙し。

バタバタと荷物を詰めて、「おつかれ！！」と元気よく言ったかと思えば風のように去っていった。

『元気だな、あいつ』

「まあ切込隊長だからね」

『涼太そろそろ帰る？』

「だね。時間も時間だし。タクシーでいい？」

『ん。頼んだ』

少し前に送迎係に任命された俺。

と言ってもタクシーを呼んで一緒に行くだけだけど。

阿「ほんと最近ゆり組の供給多くて助かるよ」

『何言ってんのあいつ？』

「んー、、きっと勉強のしすぎでおかしくなっちゃったんだね」

ねえなにそれ？！と叫ぶ阿部を無視し、

ゆっくりと歩く翔太に歩幅を合わせて歩く。

タクシーに乗り込んで、目的地を言って。

特に何も話さない。

けど、なんでか安心するんだよね。

沈黙が苦じゃないって幸せだと思える。

『…なあ涼太、』

「ん？なぁに？」

『俺、車売った』

どう、言えば良かったのかな。

「なんで？」って聞けばよかったのか、

「俺が免許取るよ」って言えばよかったのか、

でもその時の俺の口から出たのは、

「そっか」

だけだった。

『免許も、返した』

「運転は？もうしないの？」

『危ねえしさ。これで事故っても洒落になんねえし』

「…まあ、たしかに」

『てこと。…お、着いたわ』

あざーしたーなんて言いながらお金を払う彼。

『んじゃ、また明日』

「8時前に迎えに行く」

『頼んだ。じゃ』

杖に体重をかけて歩く後ろ姿を見つめる。

明日8時前に迎えだから、

起きるのは6時か。早いな。

なんて思ってた数時間後、

今度は冷や汗をかいて彼に会うことになる。

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