ハレルヤ (ページ39)

今日:9 hit、昨日:4 hit、合計:132,170 hit

38. ページ39

.

母「あら、涼太くんいらっしゃい」

笑顔で出迎えてくれた翔太のお母さん。

疲れ気味なのか、着いても眠ったままの翔太を車椅子に乗せたまま家に上がらせてもらう。

母「ごめんなさいね、バタバタしてて。リフォームのこともあって片付けができてないのよ」

なんて言いながらお茶を出されるけど、

散らかった印象は全くなし。

以前とあまり変わらない室内に心なしか落ち着く。

少し変わった点といえば、

階段にスロープがつけられていたこと。

あと、翔太の部屋を一階に移したと話されていた。

母「ごめんなさいね、翔太のこと頼んじゃってて」

「いえ全然。ひとりよりは不安じゃないでしょうし」

母「この子、結構強がりだから。涼太くんがいてくれなかったらきっと溜め込んでたと思うわ」

「…そう、ですかね」

そうよ、と微笑まれるけど、

正直力になれたかはわからないし、

彼の本心は彼しか知らないからこそ、なにが正しいのかわからなくなることもよくあった。

母「それでね、涼太くん」

「はい」

母「この前翔太に呼ばれてね、先生のお話を聞きに行ったのよ。症状の進行具合とか、今後についてね」

「…はい」

母「…………翔太はね、もうリハビリしたくないんですって」

「ぇっ、」

ごめんなさいね、こんな急に話して、

なんて言われるけど

違う、悪いのはお母さんじゃない。

だからと言って、翔太も悪くない。

悪いのは、全部全部、病気だ。

「じゃあ翔太は、もう病院には、」

母「そうね、定期検診と点滴はしに行くけど、リハリビはこの前で終了したわ」

「…そう、ですか」

母「勝手に決めてごめんなさいね」

「いえ、それは翔太の判断ですから」

母「一度は止めてみたんだけど、ちょっと辛くなっちゃったみたいでね。…リハビリしても動かなくなっていく体に、嫌気がさしちゃったみたい」

確かにそうだろう。

俺だって、やってもやっても実らない努力なんて

諦めてしまいたくなる。

.