ハレルヤ (ページ31)

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急いで病院へ向かい、阿部の病室へと駆けつければ、そこには阿部以外の人影があった。

車椅子に座った、細身の影。

翔太だ、と理解するのに時間は掛からなかった。

車椅子に座ったまま、我が子を愛でるかのような優しい顔つきで阿部の頭を撫でる翔太。

何度かサラッと前髪を梳かしてやって、

そしてまた頭を撫でて。

少し伏せた目が、どこか寂しそうだった。

『……ごめんな、』

小さく聞こえた声。

阿部に謝っているようだった。

なんで翔太が謝るのか。

今回のことは誰も悪くないはずなのに。

世間が、俺らの今の状況を何も理解していない人たちが、好き勝手に叩いただけなのに。

ずっと扉の横に立っていれば、

誰かから「入らないんすか？」と声をかけられる。

「…目黒、」

目「阿部ちゃんに会うの怖いんすか？」

「いや、そうじゃなくて。ちょっと今入るのは邪魔しちゃうかなと思って」

目「邪魔？………あー、そういうね、」

チラッと病室を覗いた目黒。

翔太の顔を見て、「なんか子供の顔見てるお母さんみたいっすね」って、

俺と同じこと思ってたみたいで。

「そうだね」と返せば、

『お前ら、聞こえてる』

と、病室から声が。

『静かだから聞こえんだよ。いんだろ？隠れてねえで入ってこいって』

目黒と顔を見合わせる。

「行きましょ」と言われ、

少し躊躇しながらも病室へ入れば、少しおっとりとした顔の翔太がこちらを見ていた。

『……怒ってねえよ。そんなビビんなって』

入り口で立ち止まる俺らを見て察したのか、少し小馬鹿にしたように笑ってくる。

それに、少し安心した俺がいた。

「…ごめんね、こんなことになっちゃって。…翔太に心配かけちゃって」

『誰に謝ってんだよ。…俺じゃねえだろ』

目「俺からも、…すいません」

『だから俺じゃねえって』

『阿部に、言えよ』

って。

そんな目で言われると、やっぱり苦しい。

『…お前らを責めたいわけじゃねえ。……勝手な選択した俺も悪いし、溜め込む阿部も悪い』

ふう、と、一息吐くと、

静かに俺たちの方を見た。

『今日、お前らに伝えたいことがあるから。阿部のことも踏まえて、聞いてほしい』

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