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向「しょった違うねんて、俺らはそんなつもりで言うたんやなくて、ほんま、違うねんて、」




なにがどうなっているのか。

状況が把握できなくて、必死に翔太を説得しようと翔太に詰め寄るみんなを俺は輪の外から眺めていた。





『違うくないよ。俺いても迷惑だろうし』


深「迷惑じゃないって!俺ら何回も喧嘩したし辞めようと思ったけど続けてきたじゃん!まだ翔太は続けれるよ?ね?」


佐「翔太、一回考え直そ?今ヒートアップしちゃってるから決断するのはまだ早いって」



『いつかは辞めなきゃなんねえんだから。今辞めたって後で辞めたって辞めんのは一緒だろ』



阿「でも翔太それは訳が違って、」








誰がなにを言っても翔太は首を横に振る。

揺らいでいた決断が一気に固まったように、誰の意見にも耳を塞いでいるように見えた。







向「なあ、ダテからもなんか言ってや!」





康二に呼ばれ手を引かれる。

みんなが来る前に話したのに、もう決断の固まった翔太は先程とはまるで違う人のように見えて。


「翔太、」と言っても、まるで感情を押し殺しているかのように『なに?』とだけ返される。








…なにを、言えばいいんだろうか。




がんばれ?やめるな?まだできるよ?


それを言って、翔太は思いとどまるのだろうか。



いや、そんなわけない。

きっと俺がなにを言ったって、今の翔太からすれば蚊の飛ぶ音と同じで、嫌な雑音にしかならない。









「…翔太の、やりたいようにやればいいと思うよ」








出た言葉はこれだった。




気がつけば、康二が俺に掴み掛かってた。



向「ダテはしょったが辞めるのに賛成しとるん?!そんなん辞めろって言うとるのと一緒やん!」


って、泣きながら言われて。







岩「ちょっ、康二落ち着け!」







引き剥がされた康二。

それも「なんで!なんでや!!」って、照に押さえられながらも俺に訴えかけてきて。







なにが正解なんだ。なにをすればいいんだ。

俺は翔太を支えられてると思ってた。翔太のサポートをして、役に立ててると思ってた。




でもそれは俺の思い過ごしだったかもしれない。









「…ごめん、帰るね」









待って!と誰かに呼び止められた気がする。

でも、止まったらその場で泣き出してしまいそうで、逃げるようにタクシーを呼んで家に帰った。







玄関を入ってすぐ、

靴も脱がず、しゃがみ込んで泣いた。





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ぽん(プロフ) - ずっと読み続けることの出来るような、素敵な作品にとても感動しました。続きを待ってます! (2023年1月13日 7時) (レス) @page40 id: 8d0d2a0967 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やまさき | 作成日時:2021年4月11日 23時

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