ハレルヤ (ページ15)

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壁に体を預けるようにして泣き続ける翔太。

そっと優しく背中に手を回せば、この前のように胸に顔を押し当てて嗚咽を漏らし始めた。

向「しょった、なにがあったん、」

康二もゆっくりと翔太の頭を撫でるけど、

それにも答えず、ただ嗚咽を漏らすだけ。

その時、ふと気づく。

あれ、ケビン持ってないじゃん。

「翔太、ケビンは？」

胸の中で小さく丸まる翔太に聞けば、

微かながらにも『うえ』と答えが帰ってきた。

うえ、、上？

階段の上へと目を向けて見れば、

少し顔を覗かせるメタリックな青色をしたそれ。

なんであんなところに、と思っていれば、

静かに、でも、確実に怒りを含めながら

康二がこう聞いた。

向「しょった、誰にやられたん？」

その言葉でハッとする。

翔太が今の状態でひとりで降りることはほぼ不可能だ

しかも、わざわざ上に杖を置いて降りてくるだなんて、そんな無茶なことするわけない。

ボソッと呟かれた誰かの名前。

俺は聞こえなかったけど、康二は聞こえたようで、

チッと小さく舌打ちをすると、

向「嫌やったなあ。辛かったなあ。ついていかへんくてごめんなあ。寂しかったやろ？」

そう言いながら、もう一度翔太の頭を撫でた。

向「ダテ、しょったのことは頼んだで」

「みんなに知らせてくる？」

向「…の前に、あいつ締めてくる」

ポンポン、と2回俺の肩を叩いてその場を去って行った。

いつもより勇ましく見える背中。

何もできない俺よりか、幾分かも頼もしくて頼りたくなる存在に感じる。

『…おれ、転けちゃって、』

ポツリと聞こえた声。

「うん」と相槌を打ち、続きを待つ。

『そしたら、ケビン、離しちゃって、…取ろうと思ったらっ、…誰かが拾ってくれてっ、』

「うん」

『ありがとうございますってっ、…受け取ろうと思ったらっ、』

『そのままっ、階段の上、持って行かれちゃってっ、…取りに来いよって、馬鹿にされてっ、』

だんだんと大きくなっていく声。

それと共に、涙が溢れているのか、喉が締まって息の混じった、詰まった声になっていく。

『っ、たすけてくれると思った！…だれか助けてくれるって！だれか取ってくれるってっ、思ってたっ、』

ふと上げられた顔。

涙と鼻水で、ボロボロだった。

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