The storyteller Jardolet (ページ3)

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episode 2 ページ3

段々と広場に子供達が集まりはじめ、自分の周りにも子供達が集まって来た。

「ソーン先生！今日はどんなお話なの？」

腰辺りまである金髪を二つに結っている少女が楽しそうに弾んだ声で問う。

「今日はドイツのお話の一つ、ねずの木の話だよ。」

この物語は実際に読んだ訳ではなく、人から一度だけ聞いた話なのだ。
それでもこの物語は、印象強くしっかりと自分の頭に残っている。

とても残酷であり、最後はハッピーエンドなのかバッドエンドなのかとてもわかりずらい物語だ。

金髪の少女と話している間に子供達は10人くらい集まって来た。
その殆どがよくお話を聞きに来てくれる子供だった。

「さて、ではお話をはじめようか。クリック？」

ソーンがそう問うと子供達は声を揃えて「クラック！」と言った。

「 once apon a Time(昔々)＿＿＿

・

・

___すると、鳥だった兄は人間の姿に戻りました。

はつかねずみがやって来た。話はこれでお終い。」

お話が終わっても子供達は喋らなかった。
少しすると、一人の男の子がか細い声でソーン言った。

「先生、妹はお母さんが死んで何も思わなかったのかな？」

「とても、難しい質問だね。

何も思わなかったわけではないと思うよ。これは私の考えだけどね。

皆んなも考えてみるといい。どうしたら家族皆んなで暮らせたのか、とか、妹はどう言う気持ちだったのか。」

考えているのか、子供達は再び言葉をなくしたが、

「私は！お母さんがお兄ちゃんにやさしくしてあげたらよかったと思う！」

と言う一人の女の子を冒頭に次々と意見を言い出した。

中には、「いじわるはダメだけど、実の子供じゃないのを心から愛せる人なんていない」と言う意見も出てきた。

子供達がわいわいと意見を言い合っていると、また、一人の女の子がソーンに問った。

「ねえ、先生、結局どの意見が正解なの？」

これを聞かれてソーンが答える言葉はいつも決まっている。

「全部正解であり、全部不正解でもあるよ。」

無論、子供達にはこんな難しい答えを理解できるわけがない。それをわかっていてソーンは言っているのだ。
いつか子供達が大人になって理解出来る日がくるよと言う隠れた意味も込めて。

「えー！？何それ！」

「もう、先生ったらいつもそうよね」

子供達からのブーイングや呆れ声が飛び交う中、ソーンは優しく微笑みながら「きっと皆んなも大人になったらそう言う日が来るよ」と言うのであった。