ヌナは笑わない。 (ページ12)

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TH「(さっきから思ってたけど肌に触れるこの人の手、すごい熱い…。何なら少し声も震えてた気がするし。…そういえば、今日マスクつけてるじゃん)」

『…はい、終わりました。』

TH「…ありがとうございます(…ま、本人が何も言ってないんだし。俺がそこまで心配する必要ないよね)」

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しかし、そう考えていたとしても根っからの性格が良いテヒョンは無意識に彼女を目で追っていた。

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その結果、音楽番組の収録を終えて帰る準備をしていると、1人おぼつかない足取りで楽屋を出て行く彼女の姿を見つけたテヒョン。

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TH「…ジミナ、俺トイレ行ってくるね」

JM「はーい」

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かろうじて歩けているような様子の彼女は
すれ違う関係者の人にしっかり挨拶はして、どこへ向かっているのかと思えば人気のない螺旋階段。

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『っ…ぁあ～』

TH「っ、(わっ、座っただけか。倒れたかと思った…)」

『…冷たい…気持ちいい…』

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階段を数段登り座ると、額をピタリと壁にくっつけて熱のせいで意識も朦朧としているのか、ふわふわとした口調で1人話し出す彼女に、テヒョンは耳を疑った。

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『はぁ…なんで、氷水ぶっかけられた～？私は冷麺じゃないんだよっ』

『メイク道具だってっ、隠すし壊すし…何円したと思ってんの～？』

『やっぱりさ～、…どこ行っても同じなんだなあ』

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衝撃的な内容で思わず俯いていると、ピタリと止んだ声。パッと顔を上げるとフラフラと体が揺れ、前かがみになり階段から落ちそうになっている。

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TH「…っぶね、」

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気づけば体が先に動き、落ちそうになった彼女をしっかりと受け止めていたテヒョン。腕の中の彼女はというと、顔を赤くして眠ってしまっている。

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