タイトル未定 (ページ9)

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貴方side

「あの時はごめんね」

『気にしてないよ、』

振られた時はなんでか分からなくて泣いたっけな
振る時だって優しくて、忘れられなかった

だったらもういっその事聞いてやろうと思った
あの時の記憶を思い出して重たい口を開いた

『ふかざわくん、』

「ん?」

『あの時、なんで振られたの?』

「それは、、」

優しい目で見てくる、まるで自分が愛されてるかのように
言いにくいなら言わなくてもいい

『ずっと、好きだった』

「Aちゃん」

『辰哉くん、』

何も変わってない、綺麗な指が私の方に向かってくる

「Aちゃん、俺の事ずっと好きだったんだね」

『うん、そうだね』

「そっか、そうだったんだ」

頬に触れた時、ひんやりとした何かが同時に触れた

「今、会いたくなかったよ」

『…うん、ごめんね』

その手を取り握り返せば、もう後戻り出来ない

「行こっか、」

『辰哉くん、』

「ん?」

『戻るなら今だよ』

「戻れないって分かって聞いてる?」

ねぇ、もし私が貴方に会うために今日来たって知ったらなんて言う？わざとハンカチを目の前で落としたって言ったら？

『好きだよ、』

「俺も、好きだったよ」

何も変わってなかった
その優しさも、温もりも、声も、手も全て

変わってしまったのは貴方の左薬指に付いた指輪だけ