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貴方side



「Aさん」


『…はい』


「この前は、すみませんでした」



結婚式当日に謝られた
初めてあった日のことを、触れれてしまったことを



「Aさんの嫌がる事はしません、結婚だってしたくなければ、」


『いえ、しますよ。ありがとうございます』



初めて彼の優しさに触れると、少しは気を許せた気がした



「笑っ、た」


『私、笑いますよ?笑』


「1度も笑顔、見たこと無かったから」


『これからは笑いますね笑』


「……っはい!!」


私のことを第一に考えてくれて
誓のキスだって、ほっぺに触れるだけのキス

父から離れて暮らそうと、提案してきたのも彼
小さな幸せから少しずつ本物の夫婦になれていける気がした



そんな日々が続いて、1年経ったある日



「ちょっと待ってて」

『うん、分かった』



公園のベンチに座って彼を待っていると
大きな風が吹いて帽子が飛んでいってしまった



『わっ、』



ふわりふわりと舞って、どこかへ飛んでいってしまう
追いかけて地上に落ちるのを待った



『すいませんっ、』


「…ぁあ、いや」



わざわざ拾ってくれて、汚れまで落としてくれて
頭を下げながら近づき顔を上げた



『…っ、翔太』


「A、?」



蓋をしたはずの思いが一瞬でこじ開けられた
何も変わってないその姿に涙が出そうになる



「A、相変わらずドジだな、」


『……え』


「帽子、ゴム付けてもらった方がいいよ笑」



前みたいに被せてはくれなくて、手に持たされた



「じゃあ、俺行くわ」


『翔太っ』


「じゃあな」



振り返る様子もなく、あの日のことを話すことも無く、私の知らない人の隣を歩く貴方を見ていた。
それはただ一瞬の出来事だったはずなのに胸が痛かった。




翔太side



まさか、ここで会うなんて思わなかった。
あの日の事は今でも覚えてる


Aに初めてあった時から、奪い去りたいと思ってた
こんな狭いところに居るべきじゃないって


だからさっきも、Aの顔を見た時
また手を握って逃げ出してやろうって思ってしまった
そう出来なくなってしまったのはきっと、



「翔太、?」


「あ、ごめんごめん」


「考え事? 珍しいね笑」


「うるせ笑」



俺もちゃんと幸せだから、お前も幸せになってくれよって
そんなのはただの建前でしかなくて
振り返ればあの日の婚約者と笑い合うAが居た。



「お前の隣は、俺で良かったのに」



未練たらたらなのは俺だけだったのかなって。

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作者名:もにぃ | 作成日時:2023年11月1日 22時

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