タイトル未定 (ページ40)

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貴方side

あれから話は進んで、私の左薬指には指輪がある
この家で過ごす最後の日

「うわ、起きてんじゃん」

『なに笑』

「寝てんのかと思って様子見に来たのに」

『だって最後だもん、堪能させてよ』

荷物はほとんど無くて、向こうで新しく買い替えるらしい
せめて何か持って行けたらいいんだけどね

「指輪」

『あー、これね、綺麗でしょ』

「似合ってねぇな」

『うるさいなぁ、笑』

ベッドに腰かける私の横に座ると、その指に触れた手
驚いたけど見つめられる視線から逃げられなかった

『翔太、?』

「ごめん、」

薬指からそっと指輪が抜かれて、顔を上げた瞬間
体重をかけられベッドに押し倒された瞬間に唇に触れた温もり

唇から首筋へと、どんどん降りていくその体温に
答えるように翔太の首に手を回した

「俺と逃げる?」

『逃げたい、っ』

この場から連れ出して欲しかった。
そのまま手を握りドアノブに手をかけ扉を開けた時だった

「…はぁ、やっぱりそう言う関係だったか、」

『っ、お父さん』

「…っ、」

「翔太、お前にはガッカリだ。連れてけ」

後ろからぞろぞろと黒い服を着た人が翔太を取り押さえる
そんな様子を見ることしか出来ない私は父に腕を引かれる

「このバカ娘っ!!」

『……っ、いたっ、』

頬を叩かれ、その場に座り込んだ

「Aに触んなっ!!」

『翔太、』

「Aに選択肢をやろう」

『選択肢、?』

「縁談相手と話を進めるなら、翔太の事は見逃してやる。
ただ、このまま白紙にするなら翔太は…分かるだろ?」

「俺はいいから、お前は逃げろ」

分かってた、私が幸せになることは一生無いって
どっちの道を選んだって幸せになんかなれない

だったらあなたが生きている方がいい
あなたが幸せになってくれればそれでいい。

『翔太、ずっと前から好きだった』

「A、」

『翔太は? 私の事どう思ってた?』

「俺も、Aの事好きだった。ずっと前から」

今の私にはその言葉だけで十分幸せなのかもしれない

「やめろ」

『翔太を解放して、結婚はするから!!』

「何言っ…」

翔太はそのまま眠らされ、家まで送って行った
最後、別れる時にバレないようにキスをした

『来世では、結婚してね』

眠ったままの翔太を見ながら戻り
もう二度と開けることが無い翔太との思い出に蓋をした。