タイトル未定 (ページ36)

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「なるほどね」

『…そう、そんな感じで』

最初は黙々とやっていた深澤くんだったけど
途中で集中力が切れたのかペンをクルクルしていた

「んーーー」

『ちょっと借りるね』

「うーん、」

パソコンの前に立ち、まとめいると
さっきまで背もたれを使っていた彼の背中が伸びた
机に頬杖をつきながらパソコンの画面を見ていた

『よしっと、こんな感じかな』

「おおお、すげぇ!!」

『これであとは自分の思うようにまとめたら大丈夫』

「天才」

『深澤くんには負けるよ』

「え、俺?」

何で、と聞きたいのか目線はパソコンから私へと移動した

『営業部のエースだもん、私は雑務ばっかだし…』

「Aちゃんのお陰で俺らは案件取れてんだから」

『え、?』

「資料とか、見積もりとか? 影で支えてくれないとアピールとか出来ないじゃん、本当に助かってるよ?」

そう言ってくれるお陰で、明日から何があっても頑張れそう
嬉しくて嬉しくて、愛おしくて、自然と微笑んだ

「……」

何故か黙る深澤くんの背後に見えたのは時計
気がつけば終電まであと6分、走ったら間に合うか

『じゃ、後はよろし……』

立ち上がろうとした時に感じた、唇への温もり

『えっ!?』

「ん?」

サラッと首に回された腕、もう一度感じる温もり
さっきとは違って何度も角度を変えて降ってくる

『ちょ、ちょ、深澤くん…!?』

「Aちゃん鈍いから、俺結構待ってたんだけど、、」

熱っぽい、男らしい目をした深澤くんに1歩も動けない私
そんな私を鼻で笑ってもう一度軽めのキス

「俺ん家でいい?」

『え!? あ、いや、終電がっ』

「って言って、帰る気なさそうだね?」

『…』

「あと、そんな顔じゃ無理だよ」

『そんな顔、?』

パソコンの電源を切り、再び距離を縮めると耳元に感じる息

「もっとして、って顔?」

『……なっ!?』

「違った?」

『いや、でも、さすがに…』

「それにAちゃんも、俺の事好きでしょ?」

ニヤニヤしている深澤くんに頷くことしか出来なかった

「ほんと、最初から可愛すぎるって」

『最初って、』

「行こ、今日は帰す気ないし」

そう言って少し強引に腕を引かれて、オフィスを出る頃には
日付も超えていた