タイトル未定 (ページ35)

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貴方side

「おつかれ〜」

『お疲れ様です』

一日に一回その会話があれば良い方。
同期として一緒に入った彼は営業部のエースだ

それに比べて私は、、

「これお願いね、今日中だと助かる」

『あ、はい』

「明日までにこの案件の見積もりもお願い」

『……はい』

机の上には常に資料が置かれてある状態
だからなのかいつも帰りは終電ギリギリになる

『終わっ、たぁ』

今日はいつもより少しだけ早く終わった
いつもは走って向かわないといけない駅だって歩いても全然間に合うくらいだった

「あれ!?」

『……あ』

「おつかれ〜」

そう言えば今日は会ってなかった
この人に片想いしてもう何年も経つ

『深澤くん、』

「Aちゃん」

『その呼び方……、』

「ん?」

片手に資料を持ったまま目線を私に向けた
深澤くんも、残業だったんだろうか

『じゃあ、お疲れ様です』

「あ、待って待って〜」

『……?』

腕まくりをする仕草に悟られないようにキュンとした
じーっと見ているとまた目線が合い笑われた

「見過ぎ、笑」

『わ、ごめんなさい』

「ここなんだけどさ、」

彼が手に持っているのは昨日私が作った資料
もしかして抜けがあったのかとヒヤヒヤした

「めっちゃ分かりやすい!!」

『え、』

「俺今、資料作ってんだけど難しくてさ」

『……うん』

「なんかアドバイス貰えないかなーって」

ちらっと時計を見るとあと30分で終電だった
ここから駅まで走って5分、20分なら大丈夫か、

私が頷けば優しい笑顔で笑って、
手を掴まれると営業部の部屋へと連れていかれた

『誰も居ないんだね』

「そ、俺だけ」

自分の椅子を私に座らせ、深澤くんはその横の椅子に座る
資料に目を通してアドバイスをした。