タイトル未定 (ページ33)

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貴方side

ガタガタと鍵が刺さる音が玄関から聞こえてきた
上手く刺さらないのか焦っているのか、何度も聞こえてくる

さすがに心配になって料理を途中で止めて
早足で玄関に向かうと同時に鍵が開く音がした

「っ、」

『おかえり? 大丈夫だった? なんか……え、ちょっ、』

扉が閉まるのが先か、抱きしめられるのが先か
いつもより熱い身体が離れると焦点の合わない目

熱があるのかとおでこに手を当てようとすると
その手は掴まれ勢いよく引かれた

『えっ、本当にどうしたの?』

「今日LIVEだった」

『……あ』

そう言えばそんなことも言っていた気がした。
LIVEがある日は家に行かないって決めていたのに……

「俺ん家、電気付いてたし、もしかしてって」

『ごめん、忘れてた』

「ん、嬉しい」

あ、多分ダメだ。全然人の話聞いてない
前にもLIVE終わりに来たことがあったけどその時はアドレナリンが消化しきれてないのか散々な目にあった。

少し伸びた前髪から目が合うと、心臓がドキリと跳ねる
色気がいつもに増してすごい。

『蓮、ご飯出来てるし、食べよ?』

「A」

甘い声で呼ぶから動けなくなって
近づいてくる顔に受け入れるしかないのか
いや流されちゃダメだ

『……とにかく!! ごはん!!』

蓮の身体を押しのけてキッチンの方へ足を進めたけど
これが蓮にとっては良くなかったらしく、簡単に捕まった

『やっ、蓮、ごは……んんっ、』

くるりと身体を蓮の方に向けられ頭の後ろに回された手は
逃がしてくれるはずもなく、もう受け入れるしか無かった

器用に外されるエプロンとスウェットの隙間から入ってくる手にビクビクしながら、時々笑う蓮に身体が熱くなった

「後で二人で食べようね」

『……ほんと、来る日間違えた』

「LIVE終わりって、やっぱムラムラするわ」

『うるさい』

玄関で甘いキスを何度も繰り返し
ぼーっとしている私に優しいキスをするとそのまま持ち上げられる

「かわい、」

『……』

「かわいいよ、A」

『言い直さなくていいからっ』

「やべ、ほんと可愛いんだけど」

『ちょっ、待って』

「しー、静かにして」

せめて、ベッドまで運んでくれよと切実に思いながら
リビングのソファに二人で沈んだ