タイトル未定 (ページ31)

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貴方side

「……佐久間先輩って、あれじゃん!!」

『どれ!?』

「ちっさい人だ、確かにあの人の笑顔は太陽みたいだわ笑」

昨日あった出来事を友達に話していると
佐久間先輩はどうやら有名な人らしい

「それで話せたの?」

『話せてないよ、なんか友達さんとは話したけど』

「友達〜?」

んー、渡辺先輩が深澤先輩だな、なんて言いながら
友達が窓の外を見た

「あ!!」

『っ、びっくりさせないでよ!!』

「ごめん、ほら佐久間先輩だよ!!」

『えっ』

友達の近くまで行くと、
体操服をパタパタさせている佐久間先輩と昨日のお友達

「当たり?」

『……うん、当たり』

「こっち向けーって願ってみたら?」

『向こうは私の存在も知らないって笑』

そんな台詞を虚しくなりながらも言って
自動販売機にジュースを買いに行くことにした

体育終わりの3年生でいっぱいいっぱいで
本当に行くタイミングを間違えてしまった

『仕方ない、戻ろう』

来た道を戻ろうとすると、3年生の集団にぶつかり
バランスを崩して倒れそうになるところだった

「…ほんと、よく転けるね?笑」

『さく、ま先輩……?』

「お、知ってくれてんの?」

『逆に覚えててくれてたんですね、』

「あんな目の前で転けられるんだもん、覚えるよ」

人が少ない所へ手を引いて連れて行ってくれて
それだけなのにドキドキして嬉しかった

『あの、前もお礼言い忘れて、今回もありがとうございます』

「ドジっ子? 俺も人の事言えないけど〜笑」

『太陽みたい……』

「え?」

『あ、いや、えっと、すみまっ』

思わず言ってしまった口を押さえて謝ろうとした時

「佐久間くん、次の授業遅れるよ〜!!」

「おー、そっか!! んじゃ、俺行くね〜!!」

名前も聞かれないまま、佐久間先輩は美人な人と歩いていったその背中を見つめることしか出来なかった

『本当に太陽、みたいな人だな』

届かない距離にいつも居る佐久間先輩といつか話せる日が来るのだろうか。

そんなこと望まない

今はただ、転けた子って覚えてもらってるだけで十分だ。