タイトル未定 (ページ30)

今日:17 hit、昨日:3 hit、合計:4,800 hit

・ページ30

貴方side

「おっ、危ねぇー!!」

『すみませんっ!!』

「怪我ない? 大丈夫?」

『あ、はいっ』

「にゃはっ、それなら良かった!! じゃ!!」

出会いは偶然だった
転けそうになった私を包み込んでくれた
そんな笑顔が太陽みたいな人、名前も知らない

『……はぁ』

「またため息、笑」

『お礼も言ってないのに、』

「どんな人よ?」

『笑顔が太陽みたいな人だった』

分かんないよ、と友達には突き放されてしまったけど
どうしてもあの笑顔が頭から離れなかった

「ま、でも同じ学校だしいつか会えるって!!」

『そう、だね。』

同じ学校なんだ、いつか必ず会えるはずだ
そう思っていたけど何ヶ月も彼に会うことはなかった

『うわ、雨だ……』

「佐久間〜、傘入れてくんね?」

「俺も俺も〜」

「んだよ、俺が濡れちまうじゃねーか!!」

あ、この高い声知ってる。
そう思った時にはその声のする方を向いていた

友達の前でも太陽のような笑顔で話していた
やっと会えた、それだけでも胸が高鳴った

「ん? 君も傘忘れてんの〜?」

『へ? あ、いや、折りたたみ傘があります。』

「普通は天気予報見て持ってくんだよ、普通はな!!」

彼じゃない別の人に急に話しかけられたけど
目線は彼から逃げられなかった

「気をつけて帰んなね〜」

『……はい、』

「佐久間ぁ、傘入れろよ〜」

「分かったから、ほら!!」

名前は、佐久間さんだということが判明した
きっと先輩で3年生なのだろう。

その背中が見えなくなるまで見つめていた
でも振り返ることも話しかけてくれることも無かった。