タイトル未定 (ページ18)

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貴方side

少し寒くなってきて夏を終わらせる風が吹く
その後ろ姿を視界に入れて歩く

「あーー、夏も終わりか」

「早かったなぁ」

「今年、何回アイス食べったけな」

空を見上げて独り言のように呟く
分からない、反応した方がいいのか

「今年の夏は暑かったな」

『……あ、そうだね』

ぐるっと振り返り今度は私に話しかけてきた
私が答えるとまた前を向いて進み始めた
もう横に来てくれることは無いんだろう

「……でもまだ暑いか、」

「お腹すいて来たかも」

そうやって独り言をまた呟く
付き合い始めの頃はもっと未来の話をしていた

「来年はさ、花火大会行こうよ」

『行きたい!!』

「あと冬はイルミネーション見たいよね」

『最高すぎる、』

なんて言ってた昨年
花火大会も、イルミネーションも全て行った

『楽しかったな、、』

「ん?」

蓮の事は何でもすぐわかってしまう
少し前から別れ話を切り出そうとしている事
今も遠回りして別れ話を切り出そうとしていること

『いや、何でもないよ』

「…そっか、笑」

何度も大きく息を吸うけど何も言ってこない
蓮は優しいから私が傷つくところ見たくないんでしょ
また大きく息を吸う

「…あのさ、」

『蓮、』

「ん?」

『……好きだよ』

伝えたかっただけとかそんな甘いもんじゃない
振られて私が泣くところ見て、傷ついてよ
本当は私から「別れよう」って言って欲しいんでしょ

「……っ、俺も……っ、」

最後までずっと優しいんだろうね
その嘘さえ私には真っ直ぐ伝わってくる

『ねぇ、』

「ん?」

『楽しかった、ありがとう』

結局、私がいつも負けちゃうんだ。