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貴方side

「こらー、Aー」

『わ、亮平くんだぁ』

「阿部先生って言いなさい」

『亮平くん、私に何か用?』

ずいっと出されたのは進路希望調査の紙
心当たりあるよね?と言わんばかりの亮平くんの圧
もちろん、心当たりは沢山ある

「第1希望、亮平くんの奥さん!!」

『えへへ、照れちゃうなぁ』

「第2希望、亮平くんの彼女!!」

『やめてよ、恥ずかしい〜』

「第3希望、亮平くんの愛人って、お前なぁ」

良いじゃん、進路希望なんてみんな望みを書くだけ
そこに将来進める人なんて選ばれた人間だけだもん

私だって、嘘で書いてる訳でもないし
亮平くんの彼女になりたいって思ってる。

『ダメ?』

「ダメです。書き直し、てかボールペンで書かないでよ」

オラってくる亮平くんも好き
あざとく可愛い亮平くんも好き

『亮平くん』

「阿部先生」

『ちぇっ、けち』

「とにかく、放課後取りに来るように、分かった?」

『……えぇ』

「取りに来る、いいね?」

『はぁい』

「よし、いい子」

優しく頭に置かれた手、嬉しくて恥ずかしくて
両手で顔を覆った

『来年も、亮平くんが担任になりますように!!』

「それはどうかな、笑」

なってもらわないと困る。最後の高校生活は担任として卒業証書もらったり、話したり、文化祭でも盛り上がるんだもん

『じゃ、また放課後ね』

「はいはい、笑」

なんて話していた数ヶ月前だった。