な ページ3
カラスのその声は何かに対する告別なのか、はたまた同胞を呼ぼうとしているだけなのか。
それに無意識のうちに気をとられ、どこにあるかすら分からない窓を捜して視線をさ迷わせていると、額に触れられた感触がした。
『１つだけ、質問があるの』
目線を彼女に戻すと、彼女はカッターを持っていない方の手で器用に俺の前髪を何処から取り出したかわからない髪ゴムで結ぼうと遊んでいた。
何してんだよ、と言おうとして口を開く。
しかし、言葉が喉元に到達するよりも速く、彼女の額がぴったり俺の額に合わせられ、沈黙を強いられた。
鼻先までも触れてしまいそうな距離に彼女の顔が近付き、高く一つにくくられた真っ黒な黒髪が僅かに頬を撫でる
零れそうな程大きな瞳は揺れることなく俺を見据えていた
『花巻は私が死ぬって言ったらさ、一緒に死んでくれる？』
ねぇ、と彼女は目を細めた。
「……何言ってんだよ」
『んーとね、あの烏野二年sにも分かりやすく言うと、私と心中できるかって質問。』
「はっ、あいつらに心中なんてわかんのかな
……何？お前 自 殺 願望でもあるわけ？」
『ないよ、ただ花巻の答えが気になるだけでさ』
「…………ますますわかんねぇし」
『そりゃごめんね
…まぁゆっくり考えてみてよ。
急かさないし、時間はたっぷりあるよ』
そう言いながら彼女は静かに顔を離す
身体は退けないのか、なんて言えるような立場にいないことは理解していた
俺はそこで彼女に殺されるイメージをしてみる
彼女の腕が振り上げられ、真っ直ぐ俺の心臓ピンポイントに寸分の狂いもなくカッターが突き立てられる。
そして俺が喉からひゅう、と不自然な音をたてるのをバックに、彼女は引き抜いたそれを自らの心臓に立てる
それは案外、現実味を含んだ想像だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナナシ(プロフ) - ありがとうございます 頑張ります 応援どうもです。 (2017年10月10日 22時) (
レス) id: 0bd29f1c62 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ - いっつも面白いです 更新、頑張ってください！ (2017年10月10日 21時) (レス) id: 80316e3efe (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - マジすか、あざます。頑張ります ファイトします。 (2017年10月9日 20時) (レス) id: 0bd29f1c62 (このIDを非表示/違反報告)
みなこ - いつもナナシさんの作品楽しみにしてます！更新ファイトです！ (2017年10月9日 20時) (レス) id: 932a4722ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：季節の野菜を添えて。 | 作成日時：2017年10月9日 17時
