泣 ページ1
【毎日を最後の一日のように生きよ】
かのセネカはそう言ったらしいが、まさかその最後が今日だったとは。
身じろぎひとつせず体育倉庫のマットの上に横たわりながら、淡々と考えていた。
一つ言っておくが俺にそういう趣味はない。
どこかまるで他人事のように考える俺の姿はさぞかし滑稽なことだろう。
自身で想像していた最後はどんな形であれど、少なくともこんなに早く訪れる予定ではなかった。
今日も何事もなく、ただまた一日が過ぎて欲しい、それを望んだだけだったのに
……いや、存外こういう何もない日だったからかもしれない
満たされていて、不具合が何一つない。無さすぎるような日だったから
大事なことだから２回いうが、皆がとっくに帰った後、倉庫の古びたマットの上に寝るような趣味は生憎なことにない。
彼女が俺の上に座ってさえいなければ、胸ポケットから引き抜かれた冷たいものを首筋に当てられていなければ。
俺は、今すぐにでも扉の前に放られた鞄を掴んで無我夢中で逃げていることだろう
力は俺の方が確実に、遥かに上回る。本気で拒否すれば彼女を振り落とすことなど造作もないことで。
ただそれができないがためにこんな窮地にまで追い詰められていることは、もう言わなくてもわかってるはず。
別に彼女に気を使ってるわけではなかった。
命の危機に面してる以上今の俺に他人のことを考える余裕なんてはなからないから。
本能が動いてはならない、逃げてはいけないと警鐘を鳴らし、身体にそれが伝達されているのだ。
「……なぁにがしたいんだよ」
『さぁ、何だろ。何だと思う？』
俺を見下ろす彼女の機嫌は特別良いわけでも悪いわけでもなかった。
瞳を覗き返してみても読み取れる感情は何一つない
そんな彼女の瞳に光はなく、ただじっとこちらを見つめてくる
その瞳に映された俺と、その俺を見ている俺の目が合っている、彼女の目はまさに鏡と等しいと言っていいほど黒く、暗かった。
そんな彼女には俺の考えていることなど全て筒抜けなのであろうか。
何しろ彼女の考えていることはわからないから。
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ナナシ(プロフ) - ありがとうございます 頑張ります 応援どうもです。 (2017年10月10日 22時) (
レス) id: 0bd29f1c62 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ - いっつも面白いです 更新、頑張ってください！ (2017年10月10日 21時) (レス) id: 80316e3efe (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - マジすか、あざます。頑張ります ファイトします。 (2017年10月9日 20時) (レス) id: 0bd29f1c62 (このIDを非表示/違反報告)
みなこ - いつもナナシさんの作品楽しみにしてます！更新ファイトです！ (2017年10月9日 20時) (レス) id: 932a4722ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：季節の野菜を添えて。 | 作成日時：2017年10月9日 17時
