時透有一郎 ページ15
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「執念い!」
無一郎と薪取りから帰って来たところ、家の裏から聞こえた大きな怒鳴り声。声の主が誰かはすぐに分かった。何かあったのか、と覗くとそこには有一郎と町のふもとに住んでいる女の子の姿。
『どうして..?好きなのにっ』
「だったら何だ。お前が俺を好きだから、俺にも自分を好きになれと言うのか?」
『!』
「図々しい。」
キツい言い方....。相手は女の子なのに、それも私達より年下。もっと優しく断る事も大事だと思うんだけど。
「さっさと帰れ。暗くなったら足元がおぼつかなくなるぞ」
『酷いよ!そんな言い方しなくても良いじゃない!』
泣きながら声を張り上げた女の子。それでも有一郎の表情は変わらないまま。女の子はそのまま町へと降りて行ってしまった。
「無一郎、中に入って待ってて」
「分かった」
無一郎をその場から離れさせ、私は立ち尽くす有一郎の元へと歩み寄った。
「!帰ってたのか」
「うん、今ね」
中へ入らないのか、と問い掛けたら「俺は、やっぱり駄目だな」と弱々しく微笑んだ。彼が私だけに見せる一面。
「もう少し優しく断る事も大切だよ。有一郎は言葉がキツいから勘違いされやすいけど、本当はとっても優しい事知ってるもん、私」
落ち込む彼の頭を撫でたら、思い切り抱き締められた
「ありがとうな。...いつもAには助けてもらってばかりだ」
「良いんだよ、気にしないで」
背中を優しく撫でてあげるときつく抱き締められて私の胸の中で小さくなる彼の姿に愛しさが込み上げる。落ち着かせる様に撫でていたら、
「....好きだ、A」
小さく、聞こえて来た言葉。頬が緩んでしまう。「私も好きだよ」なんて。
まだ、11年しか生きていない子供、周りから見ればほんの小さな恋愛。けれど、私にとっては生涯、忘れられない相手だった。
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リクエスト より。Thanks !!!!
過去回想シーンで泣きました。最近は鬼滅を見て度々泣かされています( 笑 )
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らびっと - 評価300票目頂きました(言わんでいい)神作ですね。リクで、村田と後藤のお話を書いてもらえませんでしょうか。頼みます(切実) (2020年1月19日 20時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)
りなな - リクエストで、獪岳お願いします!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: 7fbca9c2a2 (このIDを非表示/違反報告)
新人 - めっっっちゃいいです!リクエストでカナヲお願いします! (2019年12月21日 21時) (レス) id: 6e9936a4cb (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!リクエストで堕姫ちゃんお願いします!応援してます!! (2019年10月4日 22時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
【刃】(プロフ) - リクエストで悲鳴嶼さんをお願いしても良いですか? (2019年10月4日 2時) (レス) id: 78787ee302 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るん | 作成日時:2019年9月25日 22時