運命の赤い羽根【ホークス】 (ページ3)

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始まりページ3

そう、私の個性。

いや、

没個性。

他から見たら、ロマンチックな個性なのかもしれない。
だが、出会いがなければ何も無い。

そう、いわゆるほぼ“無個性”なのだ。

かれこれ20年。
最初は期待はしていたのだ。
運命の人ならば、絶対に結ばれる。

いつかは現れるだろう。
私の青春時代はいつか訪れるだろう。

「……いないじゃん！」

バンっと机を軽く叩く。
その私の行動に少し驚いた鋏が言った。

「びびったー……いやいや大丈夫だよ！
運命の人って限定しなくてもさ、違う人でも」

「んー、今まで付き合った人、いい思い出ないんだよな。」

「あー、確かに。A、男見る目ないもんね。」

おい、その言い方は酷くないか。
まあ、確かに私と付き合う彼氏はいつもクズ男だ。
浮気するし、二股だし、酒癖悪いし。

私は時々、思うことがある。
個性の影響なのかもしれない、と。

まるで、この力が強制的に運命の人ではないと恋愛をさせないようにしているのか。

また、普通に私の運がないのか。

「……そっちだよなぁ……」

「ん？なに、どしたの。」

──────────────────────

「Aー！今日はありがとねー！
また、誘うからー！！」

さほど遠くはない距離でバカでかい声で私に呼びかける。
周りで、男女のカップルが鋏を見てコソコソ笑いあってしまっている。

「ちょっ……分かった分かった！
あんま大きい声で言うな！またね！」

私も鋏の声と同じくらいの声量で返事をした。

夜21時ちょうど。
夜の街に明かりが消え始める。
その代わり、電柱の明かりが私の影をつくる。

「はぁ……今日は楽しかったな。」

誰にも聞こえない声で独り言をこぼす。
まあ、周りに誰もいないけど。

まあまあ中の中くらいのマンションへと向かう。

「……？……あれ、なんだか……焦げ臭いんだが？」

ぼーっとする目を一生懸命臭いがする方向に向ける。

一瞬にして目が覚めた。

そこには

勢いよく赤い、赫い火が自分が住んでいるマンションを包み込んでいるからだった。