ー関西の紅一点の物語Ⅴ ー (ページ18)

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◎ 勿忘ページ18

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桐山「 Aよお頑張れたやん、偉いなぁ」

稽古が終わって真っ先に私のとこに向かってきてくれる4人

まあそれはいつも通りやねんけど

濱田「どうしよか、…… とりあえず、井上くんに聞いてみる？」

「犯人探ししたい訳じゃ、」

神山「その気持ちも分かるけどな？こればっかりはちゃんと注意せんと」

重岡「じゃー、俺聞いてこよかな」

神山くんに言い返す言葉もなくて、立ち上がったシゲの背中を静かに見送った。

.

重岡「ただいまー」

桐山「どうやった？」

重岡「んー、まあ端的に言うと井上くんはなんも知らんらしいわ。
Aのこと呼んだんも、先輩に言伝されたみたいで、ほんまにスタッフが呼んだって思ってる」

「 ………… せん、ぱい？」

桐山「その先輩の名前とかは？」

重岡「聞いてんけどさ、多分俺ら知らんで。この公演出てないと思う」

一応、とシゲが挙げた3人の名前は、ほんまに聞いたことがなかった。

東京の子らと絡みがないのもあるけど。

濱田「 ⋯⋯ てことは、その子らがやったってこと？」

桐山「可能性はあるな」

顔も分からんし、どうしようかって4人が悩み始める

いつの間にかレッスン室には残り数人しかおらんくなってた。

「あのさ、………… 」

神山「ん？」

「ほんまに、大丈夫。…… 4人も忙しいやろ、？今日はもう帰ろ？」

ショックではあったけど、この際もうどうでも良くなってた。

やられたことに対しては特に思うことも無く、私に残った感情は、大事な靴の靴紐がダメになった悔しさだけ。

「なんか、もうどうでもよくなってきたし、稽古もあとちょっとやしさ。」

本番近くなったらこの稽古場も使うこと少なくなるし、あとちょっと、私が気をつければいいだけ。

「て、ことで。」

雑にまとめた荷物を持って、帰ろうとした私を止めたのは

桐山「ちょっと待ち」

照史くんやった。

「大丈夫やって、もう慣れたもんやし」

桐山「 …… 慣れたらあかんよ。こんなことに慣れたらあかん」

照史くんが、まだ小さかった私の身長に合わせて屈んだおかげで合った、あの真っ直ぐな瞳は今でも忘れへん。

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