○ きっかけ ページ17
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「 うそ、なんで、…… 」
中学に上がるタイミングで、親に新しく買ってもらったダンスシューズ
何度も何度も履いて、踊って、傷がついてる。
その傷が、目の前にあるシューズは自分のものであるという主張をしてくる。
ショックのあまり、周りを見て、犯人が誰かなんて探す余裕も無くて、ゆっくりと散らばった荷物をかき集めていた
.
「「 おはようございまーす 」」
聞き慣れた元気な挨拶が聞こえてきて、ようやくレッスン開始直前ということに気付く。
周りを見れば、いつの間にかほとんどのメンツが揃っていた。
重岡「 A〜、って、それどしてん 」
「 あ、…… え？、」
重岡「 荷物。散らかっとるやん 」
「 ああ、ちょっと、捜し物してた 」
ショックからなのか、働かない頭を動かして咄嗟に嘘をつく。
桐山「 A、これどうしたん 」
「 ………… それ、は 」
照史くんの手の中には、私がさっきまで見つめていたシューズ
真っ直ぐな視線の先は、私。
「 なんでもない、大丈夫 」
自分に言い聞かせるようにそう言った。
仕事で忙しくて、今だってギリギリにレッスン室に来た4人に迷惑かけたくなくて、心配かけたくなくて。
濱田「 いいから、言ってみ？」
” 大丈夫 大丈夫って、無理せんでええねんで ”
濱田くんの言葉に、だんだん視界がぼやけていく。
「 ………… っ、」
ダムが決壊したようにぽろぽろと涙が溢れてきて
ポツリと床を濡らした。
途切れ途切れの言葉で、今まであったことを全て話した。
4人の目を見て話せへんくて、ずっと床を見つめたままやったけど最後まで何も言わず聞いてくれて、シューズも、切れているレッスン着も全部見せた。
神山「 よく我慢したな、しんどかったやろ 」
神山くんの言葉で
ああ、私、しんどかったんや
って気付く。
重岡「 とりあえず、シューズはヘアゴム付けとき。やりにくいやろうけどないよりマシやろ 」
桐山「 稽古だけ頑張れる？」
「 ん、がんばる、」
桐山「 よし、偉い偉い 」
ポン、と撫でてくれる手が心地よく感じて、思わず顔が綻んだ。
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作者名：merrr | 作者ホームページ：http://twitter.com/merrr_mo_so_hs">Twitter</a>）...
作成日時：2022年2月18日 23時
