ー関西の紅一点の物語Ⅴ ー (ページ14)

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◎ 優しさのカタチ① ページ14

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振付師「はい、じゃあ今日はこの辺で。お疲れ」

「「お疲れ様でした」」

終了と共に床に寝転ぶ人もいればソッコー着替える人も。

私はとりあえず水飲むタイプ

西畑「なあ、Aさ」

「ん？」

西畑「シューズの靴紐、最初からそんなんやったっけ？」

大吾の指差す先は、真っ黒なシューズに通された真っ白な靴紐

「あー、気分変えよかなって入れ替えてん。今日は始めからこれやで」

せやったっけ？って記憶掘り起こしてる大吾

まあいくら考えても大吾の言うことが合ってるんやけど。

てかさっきから視線が刺さってる

大吾の後ろと、私の斜め後ろくらいから。

謙杜「丈くん、これなんですかね？」

寝転がってた謙杜が起き上がったかと思えば丈くんに何かを見せてるから少し遠目から確認するけど、よう見えへん。

藤原「紐？パーカーのとか？」

長尾「あー、… なるほど。誰か服かなんかの紐切れてません？」

謙杜の呼び掛けに心臓がドキりと高鳴る。

長尾「あれ、俺らじゃないんかな」

メンバー内に名乗りあげる人が居ないと分かった謙杜はレッスン室を出ようとした振付師さんやダンサーの方を呼び止めに行った

長尾「 …… あ、ちゃいますか、じゃあお疲れ様でした〜」

藤原「どうやった？」

長尾「誰も心当たりある人いませんでしたよ」

確信と言っていいほど心当たりのある私は
見せて、なんて言えるはずなく立ちすくむだけ。

長尾「なんともないならいいですけど」

大橋「 ⋯⋯⋯⋯ A、」

「わ、びっくりした。」

気付いたら横に居た和也に声を掛けられて肩が跳ねた

大橋「言った方がいいって」

「大丈夫やって。和也とみっちーが知ってくれてるし」

大橋「いや、でも」

大丈夫、と視線で訴えると、和也は納得してない表情で俯いた。

道枝「 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ ちゃん、」

藤原「ん？」

道枝「 Aちゃんですよね、これ」

「 ………… え、」

思わぬ発言に、私も、隣の和也も、大きく目を見開いた。

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