ー関西の紅一点の物語Ⅴ ー (ページ13)

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○ ” 約束 ”の使い方② ページ13

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「あ、… いや、」

大橋「 A、見してみ。」

咄嗟に二人から靴を見えないようにして、
どうにか誤魔化そうとしたけど、どうやら通じひんらしい。

「大丈夫やから」

大橋「約束、覚えてへん？」

” 約束 ”

デビュー日の夜に、8人で交わした約束

〈なんかあっても溜め込まんこと〉

………… 和也はいつもずるい。

私がそういう約束事を破りきれへんのを知ってて言ってくる。

「中の5人には言わんって約束してくれるなら、話す。」

代わりと言ってはあれやけど、私も条件を突きつけた。

軽くため息をついて、1周回って呆れた表情の和也と何が何だか、って感じのみっちー

大橋「 ⋯⋯ 分かった。言わん」

「ごめん、ありがとう。………… これ、」

咄嗟に隠したダンスシューズを二人に差し出した。

道枝「え、いや、…… これ」

大橋「こんなん、誰が」

二人の視線の先はダンスシューズの靴紐

6組の穴に通された靴紐の中央がちょきんと切られてた。

「はいおしまい、こんなん久しぶりやけどそこまでダメージ食らってないから。」

道枝「久しぶりって、………… 」

「神山くんに謝らんとなあ、」

事情説明したら、割と騒ぎになりそうやけど

大橋「ちょ、A待って」

「さっきの約束、忘れてへんよな？」

大橋「 …… 忘れて、へんけど」

前言撤回、和也だけじゃなくて私も私でずるいみたいやわ。

明らかに戸惑ってる2人を横目に、レッスン室の扉を開けた

藤原「お前ら遅すぎ、時間無いで」

西畑「扉の前で何してたん？」

「入ったら丈くんがなんかしてたら嫌やから、先頭で入る人決めてた」

藤原「あほか、何もしてへんわ！」

長尾「丈くんならやりそうですよ」

みんなが盛り上がる中、

「あの、」

とマネさんにこっそり声をかけた

今日は華ちゃんお休みやねん

「百均とかで靴紐買ってきて貰えませんか？」

マネ「靴紐？……ってそれ、言った方が良くない？」

「大丈夫なんで」

靴を見て、言った方が良いと念押ししてきたマネさんを見送る

残り5分辺りで帰ってきたマネさんに靴紐を通してもらって一応応急処置は完了

明らかに靴紐は違うんやけど。

切れてた靴紐はズボンのポッケに忍ばせた。