208 ページ8
「Aちゃんもお母さんだよ？」
『はっ……ぁあ……赤ちゃん……』
膝の力が抜けて座り込んでしまうAちゃんの身体を支えた。
背中を摩る。
Aちゃんは自分のお腹を摩って俺を見上げた。
「病院行こう？一緒に行く。2人で行こう？」
『ん。分かった』
それから仕事が休みの日に2人で病院に行った。
Aちゃんは陽性が出た日から吐き気と眠気、嘔吐に苦しんでいた。
受付を済ませて少し不安げなAちゃんをソファーに座らせて、その横で立って待ってる俺。
呼ばれて診察室に入り、Aちゃんだけ内診室へ。
今度は俺が不安になる。
大丈夫だろうか、妊娠してたらいいけど、病気だったら？
病気だったらどうしよう。
不安で貧乏ゆすりが止まらない俺に、先生が先に戻って来て言う。
＊「おめでとうございます。妊娠、してましたよ」
「は、そうですか。はぁ、良かった」
先生の言葉に頬が緩んだ。
病気じゃなくて良かったぁ……。
良かったぁ……！
＊「少しリスクが高い妊娠になりますので、お父さんもお母さんのこと、大事にしてあげてくださいね」
「はい？」
＊「双子ちゃんでしたよぉ」
「へ？双子？」
＊「はい。先程リスクが高いと言いましたが、ちゃんと赤ちゃんたちそれぞれの部屋に入ってますので、リスクは少なめの多胎妊娠ですね。とは言え単体妊娠でもリスクはありますから、それよりは母体にも当たり前に負担がかかりますので、十分労わってあげてくださいね」
『潤……』
「うん」
内診室から戻り、椅子に座るAちゃんの肩を撫でる。
＊「妊娠おめでとうございます。妊娠9週目ですね。2人とも、心臓元気に動かしてましたからね。ご安心ください。ただ先ほども申し上げた通り双子ちゃんなので単体妊娠よりリスクは高くなります。少しでも体調が悪くなったり、出血したり、下腹部が痛くなったりしたらすぐに来てくださいね？無理はしないように。多胎妊娠に安定期はないですから」
「はい」
『……はい』
＊「じゃあ妊娠届出書出しますので、母子手帳取りに行ってくださいね。また2週間後に。はい、お大事に〜」
会計を待ってる間、2人で無言でエコー写真を見つめて待つ。
産婦人科を出てそのまま区役所に行って、母子手帳をもらって来た。
2人分ね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴(プロフ) - ひろさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございました！作品は全て残しておくので、暇つぶしや現実逃避にお使いください（笑）本当にありがとうございました！！✨ (1月11日 23時) (
レス) id: f99e8ea2a0 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 鈴さま、完結おめでとうございます。そしてありがとうございます✨本当に楽しく読ませて頂きました。鈴さまのお話が大好きなので「終らないで〜」と、思いながら読んでおりました。寂しくはなりますが、作品は残して頂いただけるようなので、またここにきます! (1月11日 21時) (レス) @page24 id: eac3027fa7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴
| 作成日時：2023年12月9日 0時
