90 ページ40
「でもAって呼べるのは特別な関係と言うことですから。俺だけのAです。なのでこれからも時々呼びます」
『ふふふ、束縛？』
「束縛です(笑)」
『これくらいなら束縛もいいね』
「そうですか」
ベッドを起こして、枕元の水をストローで飲んだお嬢は、何か企んだ顔を俺に向けてきた。
この顔、嫌な予感しかしない。
『ねぇ、かず？夏になったらさ？プー……』
ほら。
それは無理だって。
いっくら俺らの関係を知ってても、水着着るようなところに連れて行くなんて、若頭に怒られるよ。
「服を着ててもプールも海も水着も禁止ですよ。これは束縛ではなく、組の決まりです。刺青もあることですし」
全部図星だったらしく、不機嫌なお嬢。
いい加減諦めてくれよ(笑)
『ケチケチケチケチ！！ケチ宮ケチ也！』
「ケチ宮ケチ也で結構！」
『あーもー！ビキニ着たい！』
足と手をバタバタさせて、駄々をこねてる。
「家の中で着てください」
『んぅ〜！かずは見たいでしょ？私の水着』
「見たいですよ？見たいですけど、ダメです」
『ねぇ、かずぅ？』
ジリジリと近寄ってきて、俺の首に手を回してから
跨るように太腿に座ってきた。
「何ですか？」
『かずぅ』
甘ったるい猫撫で声を、俺の耳元で囁く。
その艶やかな声に昂奮してしまって、全身の毛が逆立った。
「……ダメです」
『ねぇってばぁ』
「ダメですって。絶対」
瞼を固く閉じ、理性を押さえつける。
恋愛経験ないくせに、何でこんなに色気を放って俺に言ってくんだよ。
ここが病院でもなくて、お嬢が元気なら、迷わずめちゃくちゃに抱いてしまう。
『Aがこんなにお願いしてるのにぃ？』
「Aが大事だからこそ、守りたいからこそのダメです」
『じゃあかずだけに見せるならいいの？』
少し身体を離し、首を傾げながら俺を見下ろすように見つめた。
あざとい、あざとい、あざといぃぃ！
可愛いから、ちょっと、まじで。
あー、下半身がやばい。
俺のがお嬢に当たってしまう……！
「え？」
『胸元も、太腿も、あと残りの一箇所の刺青……かずだけに見せるならいいんでしょ？だって彼氏だもんね？』
「そ、それは……まぁ」
『プール付きのホテル、連れてって？ビキニ着たい。かずにしか見せないからぁ。ね？おねがぁい』
「若頭たちになんて言えば……」
『そんなの簡単でしょ？貸切プールに出かけるって言えば』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 463人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴
| 作成日時：2020年12月18日 14時
