お嬢といっしょ2 【ars/K.N】 (ページ34)

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『もしもし……あの、かずのお母さん？Aです』

和母《あらー、どうしたの、Aちゃん。体調はどう？》

『今日は大丈夫です。あの、今お時間大丈夫ですか？』

和母《うん、大丈夫よ。どうしたのぉ？》

ちょっとだけ、監視付きで良いならって

看護師さんに許可をもらって、かずが帰ったすぐ後

車椅子に乗りながら、病院の公衆電話にテレフォンカードを入れて、かずの家に電話をかけた。

久しぶりに電話越しに聞いたかずのお母さんの声は優しくて、懐かしくて、あったかくて……

何も言ってないのに泣きたくなった。

『かず……和也さんに、あの……』

和母《んふふ、和、で良いわよ》

『あぁ、はい……。あの、えーっとぉ』

和母《うん。なぁに？》

かずのお母さんの声がやっぱり優しすぎるから、本当に申し訳なくて

今からきちんと言わなくちゃいけない緊張からか、喉がぐぐっと鳴って狭くなった。

『好き……って、言っていただいたんですけど……』

和母《あらー！そうなの？！和が！そう。へぇ！》

弾んだ声が聞こえて、罪悪感の渦に飲まれてしまいそう。

『いつか謝らなくちゃって思ってて……』

和母《え、何を？》

『こんな世界にかずを引き摺り込んでしまって……しかも私なんかを好きになっちゃって……ごめんなさい』

不安と緊張と恐怖で、つい泣いちゃって、バレないように我慢したのに

和母《やだー！そんなことで泣かないで。そりゃ普通じゃないかも知れないけど、A組だから入るのを許したんだし、Aちゃんも、ご家族のこともよく知ってるから、気にしてないわよ？寧ろかずで大丈夫？Aちゃんのことちゃんと守れるのかしら。あんなヒョロヒョロでぇ(笑)ねぇ？》

って、穏やかな声で言ってくれるから、涙が止まらなくなった。

だって絶対私なら嫌なのに……。

『すみません……。直接言えなくて……』

和母『何言ってんの。大丈夫。今は自分のことだけ考えて元気になって？』

『ありがとうございます。あの……』

和母《ん？》

『こんなことを電話でお伝えするのは心苦しいんですが……。私、かずのお母さんたちには、孫を見せてあげられないかもしれません……』