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＊「……一億です」
大「え？お前んとこのお嬢の命、たったの一億？(笑)やっす！」
「離せよっ……！」
腕が痛すぎるけど、そんなことよりもお嬢を助けたい一心で力を振り絞って
馬乗りになっていた奴を跳ね除け、アタッシュケースで周りにいた誰かの頭を殴り、大野を突き飛ばした。
「お嬢っ……！」
俺の上着をお嬢にかけてあげた瞬間、左足に猛烈な痛みが走った。
膝から崩れ落ちて、痛すぎて呼吸が荒くなって
目の前もぼやけていくけど、お嬢だけはここから助けなければと
最後の力を振り絞って、お嬢を抱きかかえた。
本当は俺だってこいつらをめちゃくちゃに刺してやりたい……
死ぬまで撃ってやりたいけど……
お嬢が死ぬまで傍にいるって決めたから。
1秒でも離れたくない……
務所になんか入りたくない……
だからここで俺も死ぬわけにいかない……！
「金はやったんだから……お嬢、返してもらうわ……」
大「お前、足、撃たれてんのにすげぇな(笑)そんなにお嬢さんに惚れてんのか」
「惚れてたらなんなんだよ。あんたらに関係ねぇだろ」
大「はっ、素晴らしい忠誠心だな？」
「どけ。邪魔」
腕を切られ、足も撃たれ、血塗れで動く俺を見て、組員たちが後退りする。
アドレナリンが凄すぎて、痛みなんかもう感じない。
なんならこのままお嬢を抱いたまま、飛べそうなくらいだ。
階段を降りていくと、遠くからパトカーや救急車の音がする気がした。
それから俺とお嬢を呼ぶ声も……。
「お嬢……。もうすぐですよ。おうちに帰りましょう……。お嬢……、俺のお嬢……また2人でお出かけしましょうね……。お嬢だけ……かずはお嬢だけを愛してますからね……大丈夫ですよ」
無意識にお嬢に話しかけている俺は、自分で何を言っているか、意識が朦朧としすぎて分からない。
やっとの思いで大野の事務所を出た瞬間、俺はお嬢を抱きかかえたまま、意識を失った。
目を覚ますと、真っ白な景色が目の前に広がって
ピッ、ピッと、規則正しく聞こえる機械の音
消毒液の匂い
だんだんと視界が開けて、ここが病院だということ
機械に繋がれてること
刺された腕と、撃たれた足が動かしづらいことを理解した。
「お嬢……？」
勢いよく身体を起こしたら、痛過ぎて、ベッドでのたうちまわった。
相談役「和君！あぁ、良かった！今看護師さんとお母さんたち呼んでくるからね！」
相談役が部屋から出ていく。
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年12月18日 14時
