81 ページ31
膝に頭を預けたまま、のんびりとした声で聞いてくる。
「別に？その間ゲームしてたし。Aはゲームずっとされるの嫌？」
『嫌じゃないよ……。あのね、私、家で本当に喋らなくて。独り言も言わないし。で、本当にほかっとくと、何時間でも寝ちゃうのね。そのせいで連絡つかないってみんなから怒られたり、つまんないって言われたり』
「うん」
『かずくんもつまんないでしょ？』
Aは言わないけど、元彼たちに言われてきたんだろうなぁって。
確かに学校のAとは違うというか、ギャップはあるのは当たり前だし
俺は家の中でも“A先生”を求めてるわけじゃないからさ。
「つまんないかどうかまだ分かんないけど。別に俺は気にならないよ。まぁ連絡つかなかったら生きてるかどうかは心配になるだろうね」
『ごめんね』
「ううん。Aはそのままで良いよ。変える必要なんてない。俺自身ゲーム止めろなんて言われても無理だし。けどそれでお互いが居心地悪くないなら良いじゃん。お互い好きなことやって、時々甘えて甘えられて、何かを共有出来るなら。自分を偽ってまで一緒にいるの違うじゃん」
『ん……』
「俺、芸能人じゃないから(笑)何も我慢しなくて良いんだよ」
『んふふ、うん』
「俺を好きでいてくれるならそれで良い」
『はい』
それでも不安そうなAの肩を抱いて、髪にキスをすると、Aが俺の肩に顔を擦り寄せてきた。
「だからもう、ごめんねも言わなくていいよ」
『はい』
「てかさ、腹減らない？(笑)」
俺、マジで数時間放置されてたからね。
そんで、つまんないとかじゃなくて、マジで心配しすぎて
月曜日には会えるってわかってても、気が狂うかもしれない(笑)
『なんか食べる？作ろっか。ハンバーグは出来ないけど』
「作ってくれるなら何でも良いよ。私の主食ハンバーグじゃないから(笑)」
『んふふ、はい。じゃあちょっと待っててねー』
キッチンで準備し始めてくれたAに心配になって言う。
「ねぇ」
『んー？』
「本当にデートとか俺んちに来てくれたりするよね？土日ずっと寝てるわけじゃないよね？」
『あははは！うん、するする！』
後ろから抱きつくと、俺の頬に頭を擦り寄せてきたから
サラサラの髪にキスをすると、顎にチュッと可愛いキスが返ってきた。
こうやって普通で、穏やかで、柔らかい俺たちの時間のはじまりの音がした気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴
| 作成日時：2020年11月12日 20時
