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救急で見てもらったら、骨は折れてなかったけど、膝がぱっくりいってて
まさかの4針も縫うほどの怪我だった。
無理やり連れてきてよかったわ。
医者「Aさん、よくこれで寝たら治ると思ったね！(笑)頭と膝は思ってるよりぱっくり行きやすいから。気を付けてねぇ」
『はぁい』
医者「じゃあ彼氏さんに手伝ってもらってゆっくり帰ってね。膝、90度に曲げちゃダメだよ。縫い直さないといけなくなるからね。また診せに来てください。お大事にー」
『ありがとうございました』
診察室からAを支えながら、荷物を持ってやって出る。
ぎこちなく歩くAに変わって、会計を済ませ、タクシーを呼んだ。
『彼氏だってぇ。違うのに』
外のベンチに並んで座ってたら
ひひひって笑いながら俺を何度も小突いて、上目遣いで見てきた。
「彼氏に見えるほど俺の介抱が優しかったってことだな。感謝しろ。崇め奉れ」
『神様、仏様、松本潤様、ありがとうございました。お陰で傷はすぐに塞がりそうです』
わざとらしく手を擦り合わせて拝んでくる。
「ん。良かろう(笑)部屋まで送る。今度こそお前に拒否権なし」
『はい、すみません。助かります』
腕に捕まらせて、すぐに来たタクシーに乗せて、Aの家まで行く。
すっかり酔いが覚めた俺らは、特に話すこともなく
無言でタクシーに揺られていた。
『……ずっと別れてから落ち込んでたんですけど、なんか吹っ切れました』
「そう」
『ありがとうございました』
「いいえ。お安い御用」
『ふふ』
マンションに着いたから、またAを支えて荷物を持ちながらタクシーを出る。
歩くのに時間がかかるかもしれないから、タクシーは一回帰しておいた。
「何階？」
『階数のボタンくらい押せますよぉ(笑)』
そう言いながら、5階のボタンを押す。
「さっきから思ってたけど、まぁまぁ良いとこ住んでるよな」
『物騒ですからねぇ。念には念をで。お給料もいいので』
「だな」
エレベーターに乗り込んで5階に着いたから出ると、急に俺の腕をギュッと掴んできたから驚いた。
『えっ』
「え？」
＊「A〜。ごめん。仲直り……は、誰？」
『いや。何でここにいるの？』
＊「やっぱ俺にはAしかいないって思って。てか、その男誰？新しい彼氏？」
『あんたと一緒にしないで。上司。足怪我したから送ってもらっただけ』
＊「ふぅん」
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年5月31日 13時
